社会保険/社会保険の基礎知識

退職者へ的確に説明したいその後の医療保険!(3ページ目)

従業員の退職後の人生設計はさまざま。それに伴い加入する社会保険制度もこれまた多様な選択肢が存在します。このようなセカンドキャリアを歩む従業員に向けて的確なサポートをしていくことは企業実務上の必須知識。セカンドキャリア支援は欠かせない時代となっているのです。今回は従業員に一番身近な退職後の社会保険制度(公的医療保険)を解説いたします!

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


4.国民健康保険に加入するケース

退職後、即国保に加入すると思いのほか保険料が高い場合も!

退職後、即国保に加入すると思いのほか保険料が高い場合も!

前記の1~3以外の人は「国民健康保険」に加入することになります。日本は国民皆保険といって、全員なんらかの制度に加入することになっているので、1~3に加入できない人の最後の砦として住所地の市区町村が管掌している制度に加入することになるのです。

【加入先は】
住所地の国民健康保険制度

【保険料負担は】
国民健康保険法による保険料方式と地方税方式があり地区町村により扱いが異なります。

【ここがチェックポイント!】
家族(被保険者)の被扶養者にならない場合で再就職先が未定の場合は、前記3の任意継続被保険者か、4の国民健康保険に加入するか、の選択になります。この場合のチェックポイントは、各制度の保険給付内容と保険料負担です。

特に保険料は、退職従業員にとって最も関心が高い内容です。前記により3の任意継続被保険者の保険料負担額は、退職者の社会保険情報から容易に計算ができます。他方で、自身の住所地で国民健康保険に加入した場合の保険料を問い合わせてみることです。

●両者の保険料を調べ安価な制度への加入サポートをしよう!

そのうえでどちらか安価な制度に加入することを伝えておきましょう!一般的に任意継続の制度を利用しないでいきなり国民健康保険(略して国保)に加入すると、保険料負担が思いのほか高いようです。退職後働いていないのだから、国保の場合「保険料は当然安いはずだ」と思っていると落とし穴があります。

実は国保は、前年の所得に応じて保険料を計算するシステムなのです。前年の所得分の応分負担なので働いていないのに高く感じるのです。もちろん、働いていない(もしくは収入が減少)わけですから、さらに翌年になれば国保の方が安くなるケースも出てきますね。従って3の任意継続被保険者と4の国民健康保険のどちらに加入した方がよいのかの継続的シミュレーションが欠かせないのです。

<参考記事>
従業員退職時の社会保険手続き

<参考資料>
退職後の年金手続きガイド(日本年金機構パンフレットP13退職後の医療保険)

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