大きな反響に、早くも撤廃
同じく小売店の大きな反発を受けたハードには、PSP goがありました。小売店からの反発は、PSP gpが大苦戦した要因の1つです
一方で、ディスクレスの起動はできなくなり、ゲームを遊ぶときにはゲームソフトを本体に挿入する必要があります。また、物理ソフトを手元に持っていなくてもXbox Liveのアカウントでログインさえすればオンラインから自由に自分のゲームをダウンロードして遊べる、というようなこともできなくなりました。
MSによると発表後の反響を考慮してとのことで、ユーザーの声を拾ったという形ですが、より大きかったのは流通の反応だったかもしれません。北米では小売店の寡占化が進み、市場を掌握する大規模チェーン店の発言力が大きな影響力を持っています。今回のMSの施策で最も敏感に反応するのはお店でしょう。中古がメーカーにコントロールされるかもしれない、もし手数料などがなかったとしても店舗での売買の手続きは面倒になるかもしれません。
E3というイベントは、ユーザーイベントではなく、本来は商談の為の業界イベントです。入場者も基本的にはゲーム業界人だけで、ユーザーはいません。従って、SCEがプレゼンテーションで喝采を浴びた時、あの場には多くの流通関係者がいたはずです。そしてもちろん、その様子をMSの関係者も見ていたことでしょう。
早期の撤廃も、賛否分かれる
クラウドを前提としたサービスは、前世代機との差別化のポイントでしたが、そのメリットを納得してもらえる説明ができませんでした。(イラスト 橋本モチチ)
また、非常に重要な点は、MSが迷走している印象を与えてしまったことかもしれません。強い信念を持ってこちらのほうがユーザーやお店にメリットがあると説明できず、すぐに引っ込めてしまえば、やっぱりその程度のものだったと思われてしまいます。
また、迷走していると思われれば、他の施策についても不安が出てきてしまいます。新型Kinect同梱やPS4よりも高い本体価格などについても、また迷走を繰り返しはしないかという声は、どうしてもあがります。
Xbox360の好調を背景に、本体価格やサービスなど、強気の施策を次世代機に盛り込んだMS。クラウドを使った新たな仕組みを提案するも、出鼻がくじかれた格好となりました。実際には、今までと何も変わらない、元通りに戻しただけですし、他のハードと同じ状況になっただけです。しかし、強気で提案したにもかかわらず、すぐに撤廃したことは、マイナスのイメージを作ってしまいました。
今回の判断が正しかったのかどうかは非常に難しいところではありますが、新しい仕組みは理解してもらうのに時間がかかるということもあります。各社が独自性を出したサービスを提案し、ユーザーがどれを購入するかによって選択がなされるという意味で、MSの提案が実行される前に撤廃されてしまったことは少し残念でもあります。
折角次世代機が発売されるというタイミングですから、Xbox Oneの今回の件に尻込みせず、各メーカー共にどんどん新しいことにチャレンジして欲しいと思います。
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