湖に浮かぶ、北欧3国の国境点を周遊ウォーキング
湖の上の国境点までは、木の桟橋が伸びている。冬場は凍った湖の上を歩いてアプローチ可能
3国以上の国境が一点に接するいわゆる国境点は、世界にもそうたくさんはありません。そのうちの1箇所に数えられるのが、キルピスヤルヴィの村の果てにある、フィンランド・スウェーデン・ノルウェー3国の国境点。この北欧3国の国境点は湖の上に浮かんでおり、ユニークな形の記念碑が設置されています。周囲には木の橋が敷かれていて、10秒ほどでぐるっと一周が可能。もちろんパスポートも要らず、辺りの自然風景を見渡したところで、国と国との境は何も見当たりません。
ハイキングセンターを出たボートが到着する島の岸辺。ここからしばしハイキングで国境点を目指す
国境点にたどり着くには、まずキルピスヤルヴィ中心部から5キロほど北上し、サーナ山登山口のそばにある
ハイキングセンター(Kilpisjärven Retkeilykeskus)に向かいます。そしてその湖岸から発着している1日3便のボート(6月中旬から8月の間のみ毎日運行)に乗って、最寄りの島の岸辺まで運んでもらいます。ボートが到着した島の岸辺からは、約3キロのハイキング。林から湖へと抜けた先に、国境点のユニークな記念碑が見えてきます。島から帰りのボートが出発する時間までには散策を終え、余裕を見て発着場に戻るようにしましょう。
体感温度の下がるモービルツアーでは、防寒具も貸し出してもらえる
いっぽう湖が凍結した冬場は、クロスカントリーまたはジェットモービルで島へと渡ることができます。ジェットモービルでの国境点サファリは、事前に催行会社に予約しておけば専門ガイドが先導してくれます。専用の防寒具も貸出してもらえますが、長時間湖上にいると体が芯から冷えてきてしまうので、中にもしっかり着込んでおくのを忘れずに。
北の果てへの到達を実感できるサーナ山ハイキング
登山道の中腹まで続く木のステップをずんずんと登ってゆくと、やがて草木の生えない荒涼とした世界に突入していく
サーナ山は、標高1029メートルというフィンランド有数の高山のひとつ。フィンランドの国土は概して平らですが、ラップランド地方に行くと、サーナ山のような1000メートル級の高山がいくつか見られます。ただし目立った峰のある山はほとんどなく、トゥントゥリ(tuntuli)と呼ばれる、なだらかにカーブを描く台地のような形をしています。
存在感のあるシルエットのサーナ山
サーナ山は、とりわけ形状の美しさと存在感からその名が知れ渡っています。ゆるやかに頂上へと続く稜線は、大人も子どもも無理せずチャレンジできる格好の登山道となっているので、雪のない季節に訪れたらぜひサーナ山ハイキングは体験したいところ。とりわけ危険な箇所や難所はなく、所要時間の目安は片道(登り)約2時間。
前半は木のステップを延々登り続けるだけなので、迷うこともない
サーナ山の登山口は、国境点へのボート発着場と同じく、中心部から5キロほど北上したハイキングセンターのそばにあります。センターでは、登山道に関する詳しい情報を得ることができ、食料や飲み物も手に入ります。登山口を出発してからしばらくはステップが整備されているので、迷う心配もありません。斜面は常にゆるやかなので、あまり山登りをしている実感がないかもしれませんが、だんだんと辺りの低木が地表を覆うコケに変わり、やがて草木のまったく生えない殺伐とした岩の世界に入ってゆきます。
登山道の後半では、世界の果てにきてしまったかのような荒涼とした岩の大地が続く
一帯が完全な岩場となってからは、ステップの代わりに、ルート上の岩に道標のマーキングが施された登山道へと切り替わります。足場はごつごつと滑りにくいので、ペースを守って道標を追っていけば、無理なく先へ上がって行くことができます。
まるで月面のような異様な雰囲気に包まれた頂上には、小屋も記念碑も見当たりません。けれどそこから見下ろす景色は圧巻!白夜の季節は夜9時頃から登山を開始し、頂上で沈まぬ太陽を拝もうとする登山客も少なくありません。
最終ページでは、キルピスヤルヴィまでのアクセス方法や宿泊、アクティビティ情報を紹介!