なぜ蔵元がスイーツ?
蔵の隣にあるスイーツ製造所とカフェ。もとは精米所だった。白い看板は酒造りに使用する和釜!
京都丹後で200年近い歴史を誇る日本酒蔵ハクレイ酒造(株)がなんとスイーツを造り始めた。スイーツ流行りだから? 社長の一時の気の迷い? いえいえそうではありません。
酒造りでは、さまざまな副産物が生まれる。また、日本酒蔵はその地域の農産物の加工業者でもある。11代目当主はそれらを利用してスイーツを作ろうと思い立ったのだ。
もちろん、中途半端な思いでできるものではない。まずは信頼できる地元のパティシエを探し、設備を整え、味わいにも徹底したこだわりをもった。なにしろ、良質な酒から生まれる良質な副産物(磨いた米の粉や酒粕、甘酒、酒シロップ、梅酒の梅など)はあるが、それ以外の材料が悪ければすべて台無しになってしまう。酒類関係の材料以外に地元産の食材を探し徹底した品質重視を念頭においた。
落ち着いた雰囲気のカフェ。水はもちろん超軟水
もちろん使用する水は波動の高い「不動山水」だ。最初は周りからの賛同を得られなかったし、資金繰りも苦しかったが、徐々に助けてくれる人が現れ、また京都府の採択事業「平成21年度きょうと元気な地域づくり応援ファンド」に採用されたことで拍車がかかり平成22年7月オープンにこぎつけた。さらに、酒の仕込み水である不動山水とともにスイーツとコーヒー・紅茶などが楽しめるカフェが平成24年6月にオープン。まさに半分お酒×半分スイーツの蔵元が誕生したことになる。
白嶺舎オープン時の苦労話はこちら。
スイーツファンにも日本酒ファンにも愛される味わい
人気のロールケーキ。清酒の副産物がたっぷりだけどアルコール分は残っていない
ショップで目に付くのは何といってもロールケーキ。「白嶺ロール」は、ゆずリキュール「ゆずたん」のシロップを使用。緑色が鮮やかな「蔵ロール」は純米古酒を使用。通販をしていない「モンタニュ・ブランシゥ」には純米吟醸と大吟醸酒粕を使用。「メイミルク」の生地に香田のシロップ、生クリームには大吟醸酒粕ペーストを使用。「酒かす甘酒プリン」はしっかり酒かすの味わいがするし、桝にぎっしり入ったチョコレート「SAKE桝ショコラ」は濃厚で大人の味わい。日本酒ファンへのプレゼントにもいい。
ここでしか食べられない生菓子も魅力的
お酒が強いんじゃないの? という心配は無用。酒を使ってもアルコール分は残っていないのでお子様でも大丈夫。酒由来のいい風味が生かされているスイーツばかりだ。洋酒は気にしないけど日本酒は気になるという方、一度トライしてみてほしい。和酒の魅力満載のスイーツ間違いなしだから。