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高まる巨大地震の切迫性 高経年マンションは耐震改修が喫緊の課題

5月22日、改正・耐震改修促進法が成立しました。今回で2度目の改正です。

同法は地震による建築物の倒壊の被害から国民の生命・身体・財産を保護すべく、建築物の地震に対する安全性の向上を図ることを目的とした法律です。阪神淡路大震災(1995年1月)では犠牲者6400余人の8割が建物の倒壊によって圧死したことを受け、地震に対する安全性が明らかでない建築物の耐震診断や耐震改修の実施を促そうと、同年(95年)12月に創設されました。

しかし、2000年10月に鳥取県西部地震(M7.3)、2003年9月に十勝沖地震(M8.0)、2004年10月に新潟県中越地震(M6.8)、さらに2005年8月には宮城県沖地震(M7.2)が発生するなど、さらなる耐震化の促進が求められるようになりました。そこで、2006年1月に同法の改正が行なわれました。主な改正ポイントは以下の通りです。

<耐震改修促進法 2006年改正の主な内容>

 【計画的な耐震化の推進】
  • 国は基本方針を作成し、地方公共団体は耐震改修促進計画を作成する
 【建築物に対する指導などの強化】
  • 地方公共団体が耐震改修を指示できる対象に学校や老人ホームを追加する
  • 地方公共団体の指示に従わない特定建築物は、その旨を公表する
  • 倒壊の危険性の高い特定建築物については、建築基準法により改修を命令できるようにする
 【支援措置の拡充】
  • 耐震改修計画の認定対象に、一定の改築等を伴う耐震改修工事を追加する
  • 耐震改修支援センターによる耐震改修に係る情報提供を行なう

ただ、その後も2007年3月に能登半島地震(M6.9)、同年7月に新潟県中越沖地震(M6.8)。さらに2008年6月に岩手・宮城内陸地震(M7.2)、そして2011年3月には東日本大震災(M9.0)が発生。今後、南海トラフ地震や首都直下地震が発生した場合、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が確実視されることから、耐震化促進のための一層の規制強化が求められるようになりました。

形状または効用の著しい変更を伴っても、「過半数」の賛成で耐震改修工事は可能 

こうして、今回(2013年)の改正の運びとなったのですが、今改正ではマンションを含む住宅や小規模な建築物についても、耐震診断と耐震改修の努力義務が課されることとなりました。また、耐震改修の必要性の認定を受けた分譲マンションにおいては、大規模な耐震改修を行おうとする際の決議要件を「4分の3以上」から「過半数」に緩和する措置が盛り込まれました。そして、耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物については、その旨を表示できる新制度が導入されました。

<耐震改修促進法 2013年改正の主な内容>
  • 不特定多数の人が利用する大規模な建築物に対する耐震診断の義務付け
  • 耐震診断および耐震改修の努力義務の対象となる建築物の範囲の拡大
  • 建築物の地震に対する安全性にかかる認定制度の創設
  • 耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物については、その旨を表示できる新制度を導入する
  • 耐震改修の必要性の認定を受けた分譲マンションにおいては、大規模な耐震改修を行おうとする際の決議要件を「4分の3以上」から「過半数」に緩和する

分譲マンションは区分所有者全員の共有財産のため、改修工事によって一部の区分所有者が不利益を被らないよう、マンション共用部分の変更には法律で明確な決議要件が定められています。2002年に区分所有法が改正され、工事が共用部分の形状または効用の著しい変更を伴わない場合に限り、過半数での決議が認められるようになりました。

しかし、マンション全体の耐震改修工事となれば、形状も効用も変更が避けられません。そこで、今回の改正耐震改修促進法では区分所有建築物の耐震改修の必要性に係る認定制度を創設し、当該認定を受けた分譲マンションについては、共用部分の形状または効用の著しい変更があっても、過半数の賛成が得られれば耐震改修工事を実施できるように条件を緩和しました。ハードルを引き下げることで、耐震改修工事を促そうというわけです。
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南海トラフ巨大地震(M9クラス)が発生すると、その被害は建物被害が最悪で240万棟、死者は最大32万人に達すると想定されています。その一方、事前の準備が整っていれば、減災は可能とも指摘しています。高経年マンションでの耐震改修は喫緊の課題となっています。今回の法改正による決議要件の条件緩和を最大限に活用し、マンションの安全・安心対策に役立ててほしいと思います。
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