ユニクロは批判にどう対峙すべきなのか
一方「世界同一賃金構想」に対しては、批判的意見も数多く出されています。その最たるものが「ユニクロはブラックか?」と言われる所以になっている労働環境の厳しさです。組織運営の課題は7Sで解析する
具体的には、同社は3年で新卒入社の50%が辞めているという現実があり、辞めた元社員の著作や雑誌インタビュー記事からはその過酷な労働実態が明らかにされています。売り上げ目標の厳しい管理はもとより、スタッフの目標残業時間の超過も大幅な評価ダウンにつながるなどの現実から、サービス残業が横行する事態になっていると。加えて、膨大な店舗マニュアルの完全習得が義務づけられ、業務量と労働時間のアンバランスが社員を肉体的・精神的に蝕んで大量の退職に追い込む結果になっているとも言われています。
これはまさしく、同社の「制度」上からみて「人材」に求める「スキル(Skill)」のレベルと実態のアンバランスが生じていることに他なりません(著しく多い業務量と、平均的な「人材」が持ち合わせているスキル・レベルを大きく超えた質も求められていると思われます)。
あくまで外から見た限りの所見ではありますが、同社を辞めた方々のお話がもし真実であるのなら、「人材」に求める「スキル」が高すぎることがむしろ「人材」のモチベーションを下げる結果になっており、大元の「戦略」(デフレ型ビジネスモデル堅持)の見直しも含めた「制度(社内システム)」改訂を検討すべき状況にあるのではないかと、個人的には思うところなのです。
ユニクロの「世界同一賃金構想」が世間にもたらしている波紋は、同社の「戦略」「制度」と「人材」「スキル」のバランスの欠如が組織外にも見て取れることによって起きているのだ、ということだけは間違いのないところのようです。