波紋を呼ぶユニクロ「世界同一賃金構想」

ユニクロの柳井社長がぶち上げた「世界同一賃金構想」が、さまざまな波紋を呼んでいます。今回は、このユニクロの「世界同一賃金構想」がなぜ生まれなぜ問題視されているのかを、「組織の7S」の観点を踏まえて解析してみます。

「世界同一賃金構想」そのものは「7S」で言うところの「戦略(Strategy)」にあたります。そしてこの「戦略」は現在実行に向け詳細な検討が加えられており、近々社内の「制度・社内システム(System)」としてより具体化な形で社員に提示される見通しであるようです。

この「世界同一賃金構想」は、ワンマン経営者である柳井氏の独断によるトップダウン方式という同社の「スタイル・社風(Style)」に沿って、打ち出されています。ではなぜこのタイミングで、柳井氏は新「戦略」をぶち上げたのでしょうか。

ユニクロ新「戦略」の背景

解説

ユニクロは「世界同一賃金構想」を発表した

ユニクロ自慢の「高品質・低価格」の製造・販売スキームは、90年代後半以降の長引くデフレ経済があって形成しえたビジネスモデルであり、同社はデフレ経済の申し子と言っても過言でないでしょう。そしてまた同社は、その独自のビジネスモデルの下、急成長を遂げてきたのです。

ところがここにきて、昨年末の政権交代を機に「デフレ脱却」による景気回復をを最大の目的としたアベノミクス戦略が繰り広げられる展開に。「デフレ脱却」が声高に叫ばれその方向に日本経済が突き進むことは、ユニクロにとって自身のデフレ型ビジネスモデルを根底から揺るがされかねない重大な事態であるわけです。

そこで同社が打ち出したのが「世界同一賃金構想」という新「戦略」です。構想の表向きの目的は同社一層のグローバル化の徹底であり、構想の意図するところは「人材(Staff)」面、すなわち人事面のグローバル化であります。しかしその実は、新興国の低水準でハングリーな人材と国内の人材を競わせることで引き続き国内の現場賃金を低水準に抑え、脱デフレ経済下でなおデフレ型ビジネスモデルを堅持しようという狙いが見て取れるのです。

さらにポイントは、国内が「デフレ脱却」に向けて動き出したまさにこのタイミングを逸することなく、待っていたかのような同社の打ち手。柳井氏のトップダウン方式という「スタイル・社風」があればこそ「戦略」を即断・即決たらしめ、「世界同一賃金構想」をタイムリーなものとして流れに乗せたと言ってよろしいかと思います。