J-REIT・リサーチ・オープンはどんなファンドか
J-REIT市場の今後は？
わが国の取引所等に上場しているJ-REIT(不動産投資信託)を主要投資対象とし、J-REITから得られる配当等の収益(インカムゲイン)の確保と投資信託財産の中長期的な成長を目指して運用が行われます。毎月の分配金は2010年7月決算期より1万口当たり65円の分配金が支払われています。
J-REITへの投資は徹底した銘柄調査と市場分析に基づいて行われ、不動産研究に特化した三井住友トラスト基礎研究所から投資助言を受け運用が行われます。
2013年4月30日基準のマンスリーレポートによれば、期間別の騰落率は、6カ月＝49.51％、1年＝64.06％、3年＝76.47％、設定来＝73.69％となっています。3年以内の騰落率こそ参考指数に負けていますが、設定来の騰落率は参考指数を約７％上回っています。 なお、参考指数は東証J-REIT指数（配当込み）、騰落率は、分配金（税引前）を再投資されたものと計算されています。
分配金の健全度を計算してみる
4月末基準のJ-REIT・リサーチ・オープンのマンスリーレポートによれば、基準価額は8968円、投資されているJ-REITのポートファリオの予想配当利回りは3.4％です。予想配当利回りから投資信託の毎月の利子収入(インカムゲイン)を計算すると、基準価額8968円×予想配当利回り3.4％÷12カ月＝25.40円。毎月の分配金が利子収入でまかなわれている割合を計算すると、25.40円÷毎月の分配金65円×100＝39.07％。毎月の分配金の4割弱しか利子収入でまかわれていないことになるため、残りはJ-REITの売却益や投資信託が保有している翌期繰越分配対象額(内部留保)からまかなわれていることになります。
では、内部留保にあたる翌期繰越分配対象額はどのくらいあるのでしょうか。ややデータが古いのですが、2012年12月期（第91期）決算後の翌期繰越分配対象額は1万口当たり7351円と豊富に保有されています。
先に述べたように、毎月分配金65円のうち、J-REITからのインカムゲインは25.40円と推測されます。65円－25.40円＝39.60円が翌期繰越分配対象額から取り崩されていることになりますので、翌期繰越分配対象額にあと何カ月くらいの余力があるのか計算してみましょう。
仮に現状のインカムゲインが続いたとすれば、翌期繰越分配対象額7351円÷取崩額39.60円＝185.63カ月。余力は15年強もあることから、よほどのことがない限りは分配金が減額される可能性は低いと考えられます。
長期金利が落ち着けばJ-REITが再上昇する可能性も
2012年11月中旬頃から堅調に推移してきた東証REIT市場ですが、2013年度に入ってからは急ピッチの上昇による反動化なのか、一時期より勢いがなくなりつつあります。機関投資家などは、長期金利とREITの利回り差などに着目してREIT投資を行っていることがその要因と考えられます。2013年3月末には、REIT全体の予想分配金利回りは3.24％、長期金利は0.56％でした。その差は2.68％、機関投資家などが目安とする3％を大きく下回っていたのです。2013年5月24日現在では、REIT全体の予想利回りは3.88％、長期金利0.845％です。その差が3％を超えてきたことから、長期金利が落ち着いてくれば、再びREIT市場に資金が流れると思われます。
なぜなら、他の商品と比較して相対的に利回りが高く、政府が目標に掲げるインフレ政策（消費者物価指数の上昇率2％）により、売却益も期待できる商品はそうそうあるものではないからです。
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