相手役の福岡雄大さんはバレエ団では先輩にあたりますね。また『ドン・キホーテ』では初顔合わせということもあり、パートナーシップに注目が集まりそうです。
『ドン・キホーテ』。福岡雄大氏。撮影:瀬戸秀美
前回の舞台『E=mc2』で組んだときもそうだったんですが、相手に支えてもらって生きるという感じではなく、エネルギーがバーンとぶつかり合うタイプの組み合わせなので踊っていて面白いです。“あ、そう来るんだ。じゃあ私はこうしよう!”“え、そう来るの? じゃあ私はこう行こう!”と渡り合えるというか。
全力でぶつかって行っても返ってくるものがあるので、そこは『ドン・キホーテ』に向いてるんじゃないかなと思います。
今回のキャストは日替わりでの上演です。全日程ご覧になるお客さんもいると思いますが、プレッシャーを感じることはないですか?
『E=mc2』。福岡雄大氏と。撮影:鹿摩隆司
私はやっぱり、舞台の上で生きたい。よく“舞台を楽しむ”って言いますけど、それはちょっと違う気がして。舞台をただ楽しむんじゃなくて、舞台にいることが楽しいって思えたら、
多分いい舞台になるんじゃないかなと……。
今回はダンサーの個性がみんな全然違うので、四組を見比べるのはきっと楽しいと思います。私もイチ観客として会場にいたいくらいです(笑)。
最後に、メッセージをお願いします。
とにかく構えずに観ることのできる楽しい作品です。古典はどこかで悲劇が入ってくる作品が多いなか、ちょっと希有な作品になっている。最後まで楽しんだまま終われる作品ですので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います。米沢唯さん
<取材後記>
ステージで観る米沢さんは、明るく、伸び伸びとして、実にしなやか。さらに数々の輝かしい受賞歴が示す通り、テクニックもお墨付き。まさにキトリのイメージそのもので、ハマリ役になりそうな予感! しかし、当人は至って謙虚で、「ご自身の長所は?」の質問に、「うーん……」としばし考え込んでしまうほど。それはまた、バレエに対する愛情の深さと、理想の高さのあらわれなのかもしれません。
今回の抜擢からもわかる通り、芸術監督デヴィッド・ビントレー氏の信頼も厚い期待の星。バレエ団の未来を担う気鋭のスターであり、周囲の注目は高まるばかりです。次回は、そんな米沢さんのダンサーズ・ヒストリーをお届けします!
<プロフィール>
米沢唯
新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト。愛知県出身。塚本洋子バレエスタジオで学ぶ。主な受賞歴は、2004年こうべ全国洋舞コンクールクラシックバレエ部門ジュニアの部第1位、全国舞踊コンクールジュニアの部第1位、ヴァルナ国際バレエコンクールジュニアの部第1位、2005年世界バレエ&モダンダンスコンクール第3位、2006年USAジャクソン国際バレエコンクールシニアの部第3位など。2006年に米国・サンノゼバレエ団に入団し、4年間在籍。2010年、契約ソリストとして新国立劇場バレエ団に入団した。
新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』
日程/キャスト:
2013年6月22日(土)14:00 キトリ:米沢唯・バジル:福岡雄大、
23日(日)14:00 キトリ:小野絢子・バジル:菅野英男
29日(土)14:00 キトリ:川村真樹・バジル:厚地康雄
30日(日)14:00 キトリ:寺田亜沙子・バジル:奥村康祐
会場:新国立劇場 オペラパレス
S席10,500円、A席8,400円、B席6,300円、C席4,200円、D席3,150円
振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー
出演:新国立劇場バレエ団
問合せ:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/
※ データは2013年5月30日現在のものです。
変更になる可能性があります。
詳細はカンパニーHPでご確認ください。