本来の意味は室内や廊下の壁の一部を周囲より少し後退させてつくる窪んだ空間のこと。マンションでは住戸の玄関部分を廊下から少し室内側に引き込ませてつくった空間を指す。一般的にはややグレードが高めのマンションで採用されることが多いようだ。
アルコーブのあるマンションは外廊下と玄関とが直接面していないので、プライバシーが保ちやすい。外廊下とアルコーブが面する部分に鉄製の扉を付けるケースも多く、いっそう外部からの視線を遮る効果が高いといえる。
また、玄関だけでなく玄関横の住戸の窓の部分まで含めて外廊下から一段引き込んだプランもある。この場合は広めの空間が確保できるので、間取り図では「ポーチ」などと記載されていることが多い。
注意したいのは、アルコーブにしろポーチにしろ専有面積には含まれず、マンションの共用部分だということだ。専用庭のような使用料は発生しないのが通常だが、個人の所有する空間ではないので自転車を置いたり物置を設置したりといったことはできない。植木鉢やプランターなどを置くことも制限されるのが一般的だ。
ただ、最近のマンションではアルコーブやポーチを有効に利用するため、玄関脇にトランクルームを設置してレジャー用品などを出し入れできるようにしている例もある。また、玄関前部分でガーデニングを楽しめるよう、植栽の設置を認める分譲マンションも一部では出てきている。
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