西方の文化が香る、バルト海・ボスニア湾の沿岸地域と群島

トゥルク

19世紀初頭まで首都として栄えたトゥルクには、スウェーデンからの影響を受けた様式や文化が色濃く残る

古都トゥルクなどが面しているバルト海西域から、フィンランドとスウェーデンを分かつボスニア湾にかけてL字型に伸びる沿岸地域は、古くから交易も盛んで、必然的にスウェーデンや西方文化の影響を受け続けてきた歴史的エリア。穏やかな海のそばに開拓された街々は、一様におおらかで清々しい雰囲気に包まれていて、要人や文化人御用達のリゾートタウンも少なくありません。今日でも、東方エリアとは一風異なる中世的な雰囲気の街並みが見られたり、都市によっては第二公用語のスウェーデン語のほうが優勢であることも珍しくないユニークな地域です。

セイリング

海も緑も輝く夏の群島エリアでは、セイリングやサイクリングによる島めぐりが人気のアクティビティ

ボスニア湾入口付近の海一帯には無数の小さな群島が浮かんでいて、リゾートビーチとして、あるいはセイリングやサイクリングなどの夏のアクティビティを楽しむ人で賑わいます。とりわけ、複雑な歴史的経緯を経てフィンランド自治領となったオーランドは、今でもスウェーデン語が話され、独自の国旗やパスポートが利用されているという文化的にも興味深い場所。ヘルシンキあるいはトゥルクからストックホルムへと向かうフェリーが寄港します。島のなかでは、のどかな牧草地に古き良き赤壁の木造小屋が点在する、まさにイメージ通りの北欧片田舎の風景に出会えます。

 

バルト海・ボスニア湾の沿岸地域の代表的な都市とその見どころ

ムーミンワールド

日本人観光客にも大人気のムーミンワールドは、実はナーンタリという街の岸辺から橋で渡った小さな無人島をそのままテーマパーク化してある

■トゥルク(Turku)
野外博物館

トゥルクのルオスタリンマキ手工芸野外博物館では、幸運にも街の大火災を免れた木造家屋群を活用

スウェーデン統治時代の首都であり、ハンザ同盟の主要都市としてヘルシンキよりも長く歴史を刻んできたフィンランド南西の街。おもな観光名所は西の古都トゥルクのおすすめ観光スポット10選を参照ください。

■ナーンタリ(Naantali)
トゥルクからバスで30分ほど西へ。本土から桟橋で渡った先の島の1つに、例年夏の間だけ開園するムーミンワールドがあることで知られるリゾートタウン。大統領の公式別荘もこの街にあります。

 

■ラウマ(Rauma)

ラウマ

昔ながらの木造家屋が今も大切に保存され使われているラウマの旧市街

ボスニア湾入口から少し北上した沿岸部にある、世界遺産指定の旧市街が残る小都市。18~19世紀の素朴で彩り豊かな木造家屋が建ち並び、散策が楽しい街です。

■ヴァーサ(Vaasa)
西海岸の中部にあり、スウェーデン語を第一公用語とする住民が多い都市。スウェーデンの統治下で、14世紀には要所として栄え始めていた街で、ヴァーサ教会など豪壮な歴史的建築も残っています。1917年の独立後に勃発した内戦の際には白軍(政府軍)が一時的に退避し臨時首都としていたことから、現在でも「白の街」と呼ばれたりもします。

 

■オウル(Oulu)
ケミ教会

桃色の壁が映えるケミ教会

ボスニア湾北部に面し、17世紀初頭にスウェーデン王によって開拓された大規模な都市。オウル大聖堂は、ヘルシンキ大聖堂の設計者と同じカール・エンゲルが手がけたもの。水辺の大きなマーケット広場周辺にはレンガ造りの屋内マーケットホールやカフェなどが並び、いつもとても賑わいを見せています。

■ケミ(Kemi)
オウルから海岸沿いにさらに100キロほど北上した街。優美な教会があるほか、毎年冬には世界最大級の雪の城が建設され、氷のベッドの上での宿泊体験もできることから世界中から観光客が集まります。

 

■トルニオ(Tornio)
イケア

トルニオと、スウェーデンの隣町ハパランダの境にあるIKEAはなんと世界最北端の店舗

ボスニア湾最奥部の、スウェーデンとの国境に位置する街。街からは隣接したスウェーデンの入口街ハパランダにパスポート無しで自由に行き来することができ、双方の街で双方の通貨も使えるというユニークな場所です。両街の狭間には、世界最北端のIKEA(家具店)があることでも知られています。

■オーランド諸島(Åland/Ahvenmaa)
もともと中世にヴァイキングが定住して開拓された島々で、生粋のフィンランド人が住んでいたわけではありませんでしたが、1809年にスウェーデンがフィンランドの一地域とみなしてロシア帝国に割譲してしまいます。1917年のフィンランド独立の際、住民たちはスウェーデンへの帰属を希望しましたが、最終的にオーランド諸島はフィンランドに帰属したまま自治権を得るというかたちで合意されました。こうした複雑な歴史背景が街のあちこちで感じられる今日のオーランドは、観光産業にも力を入れており、特に自転車とミニフェリーを駆使しての群島めぐり小旅行はこの地域ならではの人気のアクティビティです。
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