絵本/おすすめロングセラー絵本

怖がりな子にもお薦めのおばけ絵本

おばけが怖いって誰が決めたの? ここに、ちょっぴり弱虫だけれど人の役に立っている「怖くないおばけ」がいます。名前はジョージー。猫とフクロウが友だちです。そんなジョージーがおばけにふさわしい家を探し回る、楽しい絵本をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

人の役に立っている「おばけ」がいる?

そんなおばけが、さて、本当にいるのでしょうか? ええ、いますとも! おばけのジョージーです。ジョージーは、ニューイングランドの小さな村にあるホイッティカー家の屋根裏に住んでいます。そして、どういう訳か、おばけのくせにちょっぴり弱虫なのです。そんなジョージーに、ある日困ったことが起こりました。 いったい、何があったのでしょう?

おばけにふさわしい家を求めて引越しだ!

『おばけのジョージー』の表紙画像

こんなに可愛いおばけなら、我が家に住んでもかまわないかな!?

ジョージーは、ホイッティカーさんの家で、毎晩同じ時間に階段をみしりといわせ、広間のドアをギーといわせるのが日課でした。その音が聞こえると、ホイッティカー夫妻は怖がるどころか「もう寝る時間だ」とベッドに向かい、猫のハーマンやフクロウのオリバーも、その音を合図に、ネズミを探したり目を覚ましたりするのでした。ジョージーは、みんなの役に立っていたのです。

ところがある日、ホイッティカーさんが、ふと思いついて、階段を修理しドアの蝶番に油を差してしまいました。それで、ジョージーはもう音を出すことができなくなってしまったのです。ホイッティカーさんも猫もフクロウも時間がわからず大弱りです。もちろんジョージーも、おばけらしい仕事ができないので落ち込んでしまいます。そこでジョージーは、もっとおばけにふさわしい家に引っ越すことにしました。

「おばけにふさわしい家」はなかなか見つからないようですが……

「おばけにふさわしい家」はなかなか見つからないようですが……

ところが、どこの家にも、既におばけが住んでいます。やっと見つけた「おばけのいない家」には、変わり者の家主・グロームズさんがいて、ジョージーは死ぬほど怖い思いをしました。あらまあ、おばけのくせに、なんて弱虫なジョージーなんでしょう! でも、こんな気弱なおばけだからでしょうか、読者の子どもたちは、自分の事のようにジョージーに心を寄せ、感情移入をしていきます。すると、不思議なことに、子どもたちの絵をみる眼が変わります。大人なら見過ごしてしまうような事柄も見逃さず、ひとつひとつの絵からお話の本質を捉えていくようになります。

例えば、以前おはなし会でこの作品を読んだとき、小さな女の子に「ホイッティカーさんの家のストーブはどこにあるの?」と尋ねられたことがあります。グロームズさんの家は寒々としているけれど、ホイッティカーさんの家はとても暖かそうだから、ストーブがあるに違いないという訳です。ジョージーにとってホイッティカー家が、どれほど温かく居心地の良い家だったかを、文章でなく絵から読みとっているのですね。日常の生活体験が豊かであればあるほど、子どもたちは絵本の中から様々な物語を感じとっていくようです。

さて、ジョージーは「おばけにとって最適な家」を見つけることができたのでしょうか? 答えは、もちろんイエスです。とっても意外な理由と意外な方法で見つかったジョージーの家を、皆さんもきっと気に入ってくださると思います。


【書籍データ】
ロバート・ブライト:作/絵 光吉夏弥:訳
価格:1155円
発売日:1978/6/20
出版社:福音館書店
推奨年齢:4歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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