学費・教育費/中学校でかかるお金

中高一貫校の学費、公立と私立でどのくらい違う?

1999年にスタートした公立の中高一貫校の人気は根強いようです。中学から入学できれば高校受験をすることなく、中高6年間を通して一貫した教育を受けられる中高一貫校。その上、公立ならば費用面でも大きな魅力があります。 公立と私立では費用はどのくらい違うのでしょう。

鈴木 さや子

執筆者:鈴木 さや子

学費・教育費ガイド

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1999年に文部科学省が中高一貫教育制度を打ち出して以来、年々その設置数は増えており、いまや全国にある中高一貫校は587校。そのうち公立は139校あります(令和4年度時点/併設型・中等教育学校)。※出典:文部科学省「学校基本調査」

「高校受験がないのでのびのびと勉学・スポーツなどに打ち込める」という特徴と、その高い進学実績などメリットも多く、非常に人気が高い中高一貫教育。なかでも格段に安く通うことができる公立中高一貫校の人気は高く、地域差はありますが、たとえば東京都では例年約5倍前後の倍率があり、狭き門となっているのです。

学校生活にかかるお金(教育費・給食費)の違い

中高一貫校以外の学校も含まれますが、文部科学省の「子供の学習費調査」を参考に、学校生活にかかる学校教育費と学校給食費について、その内訳を詳しく見ていきましょう。

 
公立と私立の差は歴然

公立と私立の差は歴然


6年間の合計金額を比較すると、公立は約144万円であるのに対し、私立は約546万円と3.8倍も高くなります。

中学校の場合給食費以外、高校の場合はすべての項目において私立の方が高くなっています。

なお公立中高一貫校のうち一部の学校では、一般の公立中学よりも、ある程度カリキュラムが自由に組め、教材費や海外研修などにお金がかかるなど、データと金額が大きく異なることもあります。しかしそれでも私立中高一貫校よりは、格段に低い費用で済むといえるでしょう。そこで、都立の学校を例に、公立中高一貫校の学費を紹介します。

都立中高一貫校の学費例

全国にある公立中高一貫校は、地域や学校によって学費が異なるため、ここではホームページ上に学費の目安を掲載している都立中高一貫校から2校ほど紹介します。なお、通学するための交通費は入っておりません。

・都立A中学・高校の学費の目安
<中学3年間にかかる費用>合計約86万円
・入学時(制服等):約6.6万円
・積立金:約58.5万円
・牛乳給食費・生徒会費等:約5.5万円
・給食費:約15.4万円

<高校3年間にかかる費用>合計約65.5万円
・進級費:約0.6万円
・授業料:約35.6万円(就学支援金に認定されると無料)
・積立金:20万円
・生徒会費等:約2.5万円
・教科書・補助教材費:約6.8万円

・都立B中学・高校の学費の目安
<中学3年間にかかる費用>合計約97万円
・入学時(制服・教材費等):約14万円
・給食費:約16.7万円
・教材費:約65.3万円
・生徒会費等:約1.3万円

<高校3年間にかかる費用>合計約72万円~76万円
・入学時(教科書等):約6.7万円~9.6万円(女子のみ制服の一部の購入要)
・授業料:約35.6万円(就学支援金に認定されると無料)
・生徒会費等:約2.2万円
・積立金:約28.2万円

同じ東京都内の公立中高一貫校でも、A学校は6年間の合計が約152万円であるのに対し、B校は約170万円と異なることがわかります。また、全国の公立中学・高校それぞれの平均教育費と比べると少し高めではありますが、やはり私立の3分の1程度で済みます。

学校外にかかるお金(塾代・習い事等代)の違い

子どもにかかる教育費には、学校教育費以外の塾代や習い事代なども大きくウエイトを占め、この学校外教育費でも、公立と私立に大きな差が生じているのです。詳細について見ていきましょう。
学校外活動費は中高合わせて6年間で30万円ほどの差

学校外活動費は中高合わせて6年間で30万円ほどの差

この学校外活動費のデータには、一般の公立中学に通う子どもの教育費が含まれており、高校受験のための塾代も入っています。しかし公立中高一貫校に通った場合でも、補習塾や大学受験対策塾へ、中学時代から通う子どもも多いため、参考になるでしょう。

学校外にかかるお金は、中学は塾代の影響もあり公立の方が高いですが、高校になるとどの項目も私立の方が高いようです。その結果6年間の合計は、公立と私立に30万円ほどの差が生じています。

学校外教育費は、かけたければいくらでもかけられるので、ご家庭でのコントロールによるものが大きいもの。公立中高一貫校に進んでも、学校の勉強についていくのが大変で塾代がものすごくかかり、その結果、私立に通った場合の教育費とあまり変わらなかった……という経験談も聞いたことがあります。

費用面で魅力が大きい公立ですが、中高一貫校となると競争率も高く、多くの入学志望者が小学校5~6年生から塾に通うのが一般的です。また、私立を併願する公立志願者も多く、周りの状況に流されて予定外の私立受験をするなんてことも。塾代、そして進路について、長期的な視点で家計から捻出していけるよう、よく検討することをおすすめします。

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