適性検査とは中高一貫校が学習に適性があるのかを見るテスト

公立中高一貫校の選抜方法は「報告書・適性検査・作文・面接・実技検査」

県立千葉中学校の場合、適性検査は1次(12月16日)に2回、2次(1月12日)に2回と合計4回行い、最も多く適性検査を行う

 公立中高一貫校の場合、設立にあたって行政システム(各自治体の教育委員会)が関与していて、私立中学入試のように国語・算数・理科・社会の「学力試験」を行わないことを設立当初より旨としてきました。したがって、公立中高一貫校の選抜方法は「報告書・適性検査・作文・面接・実技検査」等によって総合的に合否が判定されます。

居住地によって出願資格が制限され、他の都道府県の公立中高一貫校への出願はできません。また検査日も統一され、公立中高一貫校どうしの併願はできません。

「適性検査」とは、公立中高一貫校各校が入学後の学習に適性があるのかを見るために実施され、主に筆記で行われるテストを指します。私立中学入試と違い、小学校で習う学習範囲からの出題となり、国語・算数・理科・社会といった単独の教科知識を問うだけではなく、複数の教科を組み合わせたり、活用したりするなど、解く力、総合的に考える力が試されます。「なぜそう思うのか、自分の体験を踏まえて答えなさい」など、説明だけでなく自分の考えを文章で答え、まとめる力を試す問題が多く出題される傾向にあります。

適性検査は各校の教育方針や育てたい生徒像が反映されるので、学校によって問題や評価の観点も若干異なります。

なお、近年東京都立中高一貫校のなかには、適性検査を行う一般枠募集に加え、適性検査を実施しない特別枠募集を設ける学校があります。特別枠の選考は面接、作文、実技検査のいずれかを組み合わせて実施します。
   

合格者決定の方法

都立小石川中等教育学校は2006年4月に開設された。母体は名門都立小石川高校。首都圏では初めての高校募集を行わない公立中高一貫校
公立中高一貫校合格者決定の方法について事例を紹介しましょう。

都立小石川中等教育学校(文京区)の一般枠募集の場合は、「報告書(200点)+適性検査I・II・III(600点)=合計(800点)」と適性検査に75%のウェイトが課され、適性検査勝負の実力入試と言えます。

なお、同校では特別枠募集も実施。特別枠では、「報告書(100点)+作文(400点)+面接(500点)=合計1000点」となり、作文と面接に90%のウェイトが課されます。

では次に同校の一般枠募集について、報告書の換算方法、適性検査1・2・3、それぞれの詳細について見てみましょう。

■報告書は400点を200点に換算(200点)
小学5,6年生の各教科の学習の記録の配点となります。詳細は以下のとおり。

国語・算数・理科・社会・音楽・図工・家庭・体育の8教科を3、2、1の3段階評価に分け、それぞれ

・3→25点
・2→20点
・1→ 5点

に換算し、小学5、6年生の「各教科の学習の記録」の配点400点(5・6年生各200点満点、計400点満点)を、報告書では200点と半分に換算します。

■適性検査I・II・III(合計135分 合計600点)
・適性検査I(45分 200点)
適性検査Iはいわゆる「国語」の問題に相当します。2012年度は随筆(湯川秀樹)の長文と、それに関連する短文2つ(「論語」「大学」より漢文の原文と、その書き下し文、訳を記載)の計3つの文章を提示。設問は3問で、問題1・2は文章読解、問題3は3つの文章をもとに、自分の考えや抱負を401字~440字で述べるもの。難しい言葉・表現には説明が付されているので、落ち着いて読めば理解できる内容ですが、日ごろからいろいろな文章を読み、十分な語彙力や読解力、文章力を身に付けておくことが必要です。

・適性検査II(45分 200点)
適性検査IIは「社会」の問題に相当しますが、「算数」でいう計算力も必要となります。2012年度は人口構成をテーマとする大問1題で、小問6問。日本の人口構成、他国との比較など。さらに人口・国面積に関連した設問として、他国と比較しながら日本の旅客と貨物の輸送機関別国内輸送量の特徴について計算し考察するなど。グラフや表、地図などさまざまな資料を正しく読み取り、それをもとに計算したりグラフを作成したりする力、思考力や簡潔な文章を書く力などを要求する問題となっています。

・適性検査III(45分 200点)
適性検査IIIは「理科」「算数」に相当します。2012年度は大問2題(理科分野、算数分野それぞれ1題)、小問8問で構成。理科は水蒸気をキーワードに雲や霧、雨、降水量などに関する出題。基本知識をもとに身近な自然現象についての科学的説明や、計算が求められます。算数に関連した問題では平面パズルと立体パズルをテーマとする出題で、条件に従って列の入れ換え操作を考えるなど。適性検査IIIは知識や経験をもとに原因や事象、理由などを考える力、事象を数理的に分析・判断する力などが要求される問題群となっています。
 

適性検査の問題傾向とその対策

適性検査では具体的に、「資料を読み解く力」「筋道を立てて考える力」「教科知識の活用力」「日常生活での問題解決力」「作文・表現力」の5つの力が問われています。

■「資料を読み解く力」について
「資料を読み解く力」をみる問題では、表やグラフ等からわかることを書いたり、その内容について自分の考えを答えたりします。地球温暖化のような環境問題や、日本の食糧問題などが多く出題されます。この問題を解く力をつけるためには、グラフや資料を読むことに慣れ、経年で変化している数値を読み取る訓練が必要です。普段から資料内容や、その理由の意味を考える癖をつけましょう。「なぜこの数値が増えているのか?」など、資料から読み取れる内容から自分自身の意見とその理由をまとめる訓練も重要です。

■「筋道を立てて考える力」について
「筋道を立てて考える力」とは、与えられた問題文や資料等から条件を読み取り、必要な条件だけを取り出し、筋道を立てて考え解く力。問題をよく読み、何が求められているかをつかむ力が必要です。与えられた条件の中での規則性を見つけ出す力もつけましょう。解答は一つでないことが多く、他の答えがないかを見つけ出す癖をつけることも重要です。

■「教科知識の活用力」について
「教科知識の活用力」では、小学校で学習した内容をしっかり理解できているかが前提となります。各教科で学習した内容を日常生活の中で使えるかが重要で、例えば「国語」では、条件に当てはまる漢字を20文字以上挙げたり、「社会」では地域の地理や歴史の特徴を考えたり、「理科」では冷たいものが入った袋に水滴が付く理由を説明するような問題が見られます。知識を定着させるために知っていることを文章化する癖を付けておきましょう。

■「日常生活での問題解決力」について
「日常生活での問題解決力」は他人の立場や考え方を理解し、問題を克服するためにどうしたらよいのかを考える力を試します。例えば、学級会の話し合いの進め方や、6年生を送る会での出し物を決めるリーダーやメンバーとして計画立案し物事を決め、トラブルが起こった時の解決方法を考える問題が出題されます。基本的には、日頃から問題意識をもって行動する癖が必要。問題を認識したらどのような解決方法があるか、いくつかの考えをまとめます。そして一番良い解決方法を理由とともに明示します。

■「作文・表現力」について
「作文・表現力」をみる問題では与えられた文章や資料を踏まえて書いたり、設問の条件に従って自分の考えを論理的に意見文として表現したりします。作文・表現力は多くの公立中高一貫校で出題され、400字~600字程度の文章量。時間内に書きあげることは、子どもたちにとって難易度が高いと言えます。日頃から新聞やニュースを見て、社会問題に関心をもつことが必要となります。意見と理由をセットで考え、まとめる習慣をつけましょう。理由には具体的な事例を入れると説得力が増すし、600字程度の文字量を埋めることもできます。作文を多く書くトレーニングも必要となるでしょう。


公立中高一貫校の適性検査は、時間内に資料を読み、意見をまとめて書くという特性上、大人がチャレンジしても非常に難しいものになっています。小学生がただ漠然と勉強をして受検本番を迎えるより、公立中高一貫校対策模試などで経験を多く積み、現在の実力や何が足りないか、どう取り組めばいいのかを把握できれば受検勉強に活かせるはずです。
 

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