都市計画に定められた用途地域によって、それぞれの土地に建てることのできる建物の用途が制限されています。工業系の用途地域には、準工業地域、工業地域、工業専用地域の3種類が規定され、このうち住宅を建てることができないのは工業専用地域だけです。
そのため、工業地域であっても建売住宅や一戸建て用の土地が分譲されたり、工場の跡地が再開発されてマンションが建てられたりすることもあります。もちろん、それらが中古住宅として売り出されることもあるでしょう。
工業地域でありながら、一見すると普通の住宅街と何ら変わりないところもありますが、本来は工場の多い立地であることを忘れてはいけません。大型トラックなどの往来がたいへん多いこともあるほか、スーパーやコンビニ、飲食店などの生活利便施設が近隣に少ない場合も考えられます。バス便の立地であれば、周辺工場の始業前や終業後の時間帯は便数が多いものの、日中には極端に減ることもあるようです。再開発による大型マンション建設に伴いスーパーが進出したにもかかわらず、数年経ってからそれが閉店されたような事例もあります。
工業地域に立地しながら、生活をするうえで何ら不便はない場合もあるでしょうが、住宅を選ぶ際には、少し広い範囲にわたって周辺の状況を慎重にチェックすることが欠かせません。普段は車で移動することが多い家庭でも、子どもだけで歩くとき、親族や友人が訪ねて来たときなどに、危険な箇所はないか十分に確かめることが必要です。
また、工業地域では平日と休日とで周辺の状況ががらりと変わることもありますから、曜日や時間帯を変えて何度か現地を訪れてみるようにしましょう。
関連記事
不動産売買お役立ち記事 INDEX住宅購入者は必須! 用途地域の基礎知識
環境良好の工業地域に建つ一戸建