不眠・睡眠障害/眠れない・眠りが浅い

ママと赤ちゃんに優しい3ステップの夜泣き改善法

「赤ちゃんはもちろん可愛い。でも夜泣きには困ってしまう…」。連日の寝不足で疲れているお母さんも多いことでしょう。今回は夜泣きが少しでも軽くなるように、夜泣き専門保育士でもある清水悦子さんが出版された『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』を参考に、夜泣き改善のコツをご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

赤ちゃんの夜泣きの原因は?カギは体内時計と日々の習慣

泣いている赤ちゃんをあやす母親

赤ちゃんの夜泣きに悩んでいるお母さんに必見。夜泣きの本当の原因に迫ります

多くのお母さんを悩ませる赤ちゃんの夜泣き。それでなくても大変な育児をする中で、連日寝不足が続くのは大変です。赤ちゃんが夜泣きする原因は大きく2つあり、1つは体内時計のリセット機能が働いていないこと、もう1つは寝かしつけの習慣が日々違うことと言われています。いずれかに当てはまらないか、チェックしてみましょう。

■赤ちゃんの体内時計は混乱していないか
私たちはみな体内時計を持っていますが、生まれたての赤ちゃんではまだうまく体内時計が働いていません。赤ちゃんの体内時計が働き始めるのは、生後1カ月くらいからです。

ヒトの体内時計の1日はおよそ24.5時間で、地球の1日より少し長くなっています。大人になると朝に明るい光を浴びることで体内時計がリセットされて、体内時計が地球の時間が合います。しかし、体内時計のリセット機能を働かせるためには練習が必要です。この練習で最も大事なことは、「朝昼は明るくにぎやかで、夜は暗く静か」という環境の中で、毎日を過ごすことです。

朝にお母さんが忙しかったり、赤ちゃんが気持ちよく眠ったりしていると、つい目覚めさせる時間が遅くなります。すると、体内時計のリセット機能が働かず、赤ちゃんの体内時計は毎日約30分ずつ遅くなってしまいます。朝の目覚めが遅くなれば夜に寝つく時刻も遅くなり、無理に寝かせようとすると夜泣きの原因になります。

また、本来は眠るべき夜に明るい環境で過ごさせてしまうことも、体内時計が混乱する原因になります。夜遅くに帰ってきたお父さんが赤ちゃんをお風呂に入れることは、スキンシップの点では良いのですが、体内時計が混乱して夜泣きの原因になることも考えられます。このタイプの赤ちゃんは、全体的に睡眠が浅く、昼寝もまとめて長くとれない傾向があります。

■寝かしつけの習慣は毎日同じか
寝かしつけの習慣にも注意が必要です。例えば、眠るときにお母さんが立って抱っこして揺らしてもらっていた赤ちゃんは、夜中に目覚めた時にも同じことをしてもらわないと安心して眠れません。この寝かしつけの方法は、お母さんにはかなり負担になりますから、毎日夜中に何回もするわけにはいきません。そんな時に、夜泣きが続いてしまうのです。なるべく無理のない寝かしつけの方法を習慣化するのがよいでしょう。
 

赤ちゃんの夜泣き改善3ステップ

■ステップ1:朝は7時までに起こそう
赤ちゃんとお母さん

3つのステップを踏めば、多くの赤ちゃんで夜泣きが良くなります

前の夜の就寝が10時以降だったときは、朝8時を目安にしても構いません。朝が苦手なお母さんは、お父さんにも協力してもらいましょう。

強い光には、体内時計を調整する強い力があります。時間になったらカーテンを開けて、部屋に太陽の光を入れましょう。明るさに気づいて赤ちゃんが体を動かし始めたら、そっと抱き上げてください。

この時にいきなり抱きあげると、「起きぐずり」の原因になるので注意しましょう。赤ちゃんが目覚めたら、これから何をするのかを話しかけながら、顔を拭いたりパジャマを着替えたりして、朝の習慣を始めてください。

■ステップ2:お昼寝の時間を調整し、日中は活動的に過ごそう
昼寝は、生後3カ月ぐらいまでは眠そうにしたら寝かせてください。その後はお昼寝の時間帯が、「朝寝」「昼寝」「夕寝」の3つに分かれているイメージを持ちましょう。夜の睡眠をしっかりとれるようになるために、お昼寝は赤ちゃんがしたいだけさせるのではなく、時間が来たら静かに起こすようにします。目覚めたらお散歩や外遊びなどをして、太陽の光を浴びながら活動的に過ごしてください。

「朝寝」は9時ごろからで、生後6カ月までは1時間、そのあと1歳までは30分ぐらいとって、その後は少しずつ減らしていきます。「昼寝」は12時ごろからで、生後8カ月までは2時間半、3歳頃までは2時間ほど眠らせてあげましょう。昼寝は、4~5歳頃からしなくなる子どもが増えてきます。「夕寝」は5時までに切り上げましょう。それ以上眠ると、夜に眠れなくなります。夕寝は生後4カ月頃までは30分~1時間ほど必要ですが、その後は徐々に減らしていきましょう。

■ステップ3:寝る前30分のイチャイチャタイムを作ろう
夜は8時までに眠らせることを目標に、食事や入浴などは7時半までに済ませます。部屋の照明が明るいと寝つきが悪くなるので、オレンジ色などの暖色系の照明で夕方の薄暗い雰囲気を演出しましょう。テレビやパソコン、携帯電話は厳禁です。

お母さんは家事や仕事のことを忘れて、しっかりと子どもと向き合ってください。いつもより少し声を低くして、優しくゆっくり話しましょう。話題は何でもよいですが、子どもの良かった行動を具体的に伝えると、子どもに安心と自信が芽生えます。大きい子の場合も、意識してスキンシップを取ることが大切です。母乳やミルクをあげる場合は、足の裏をくすぐったり背中を軽くたたいたりして、すぐに眠らせずにたくさん飲んでもらいましょう。
 

「夜泣き専門保育士」執筆書籍もご参考に

「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」

「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」清水悦子・著

以上、赤ちゃんの夜泣きに悩むお母さんのための、夜泣き改善法をご紹介しました。今回の改善法については、詳しくは参考書籍である「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」(通称:赤ママ安眠ガイド)もご覧いただくのがよいかと思います。

この書籍の執筆者である清水さんは、理学療法士として病院などに勤めていたそうですが、娘さんの壮絶な夜泣きに悩まされたのだそうです。育児ノイローゼになりかかりながらも、医学的論文などを調べて、日本人の生活スタイルに合った夜泣き改善法を見つけました。それを娘さんに実行したところ、半年間悩まされ続けた夜泣きが、たった5日間で治ってしまったということです。

清水さんはこの経験をきっかけに保育士の資格を取り、「夜泣き専門保育士」と名乗って活動を始めました。ネット上で提供した情報をまとめたこの書籍は、夜泣きに悩む多くのお母さんに読まれているそうで、ここに書かれている夜泣き改善法を実行することで、7割の赤ちゃんで夜泣きが改善し、残りの3割のお母さんも、夜泣きのメカニズムを知ることで、子育てが楽になって笑顔を取り戻しているということです。

長い育児を少しでもストレスを軽くし、楽しく乗り切れるよう、赤ちゃんの夜泣きに悩むお母さんにぜひ読んでいただき、赤ちゃんと一緒に幸せになって欲しいと思います。

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