島外持ち出し一切禁止! 幻の島酒
夕食は、トーチャンと息子さんの二人が腕によりをかけて作ります。地魚が中心ですが、初夏にはトーチャンとカーチャンが摘んできた野草料理も並びます。その素材の新鮮さもさる事ながら見た目が美しい。それもそのはず、トーチャンは名旅館にいた凄腕の料理人、息子さんも寿司で修行を積んだ職人で、その味に唸ります。食中酒にオーダーしてもらいたいのは、純米生酒「能登の島」。この酒は、能登の名酒蔵「宗玄酒造」が造る島外持ち出し禁止の幻の酒。能登島の宿でしか飲むことができません。飲み口は「島」というネーミングとは裏腹に上品。トーチャンたちの丁寧な料理と合わせれば、なおさら進んでしまいます。
島のトレンドは「こんかいね新聞」で
島の観光を始める前にはカーチャンに言って「こんかいね新聞」を手に入れてください。この新聞はカーチャンがメンバーである能登島コンシェルジュ委員会が毎月発行する島内新聞。島民だけが知っているレアな情報が、味のある手書きでギッリと書かれています。ガイドブックより役に立ちますよ。島内の見所は点在していますが、おすすめは「ひょっこり湯」。観光客が少ない穴場のうえに、濃厚なナトリウム、カルシウム-塩化物泉。施設の外の足湯では仕事中のお父さんたちがチラホラ……。約70度の高温泉で温泉卵が出来上がるのを待っているよう。島らしいホッコリする光景です。
能登島には全国的に珍しい「野生のイルカウオッチングができる入江」や「海ホタルがいる浜」などの名所もあります。
海ホタルが見られるのは6月~9月。真っ暗闇で危ないので、トーチャンが運転&ガイドをしながらお客さんと一緒に見に行くことも。夏休みにかけて家族連れて訪ねるには最高です。
帰り際にもう一度「あまりに美味しいから『島』をお土産にしたいのだけれど……。」とお願いしたところキッパリ断られました。「『この酒が飲みたいから島に行く』。そう思ってほしいから美味い酒を造った。だから、どんなにお願いされても売らんのです。それが仲間達との約束だし。」とトーチャン。やっぱり熱い男です。
次のページでは、白山市鶴来“ちんとろ”の農家民宿をご紹介。
■能登島「島宿 せがわ」
住所:石川県七尾市能登島向田町118-1-1
TEL:0767-84-1022