喫煙男子心得よ!

旅先の宿で、タバコの臭いが苦手な彼女や奥様が苦虫を潰す顔を見たことがある男子は少なくないだろう。「えっ? 禁煙室を予約すればいいんじゃないの?」それも甘い。食堂は分煙とはいえ後ろの方から白い煙がフワフワ流れてきたり、浴衣の上から羽織る半纏に臭いが残っていればアウト。都心のパブリックスペースでは禁煙が常識化してきた近頃。宿だって大切な人を煙から守りたい!と「禁煙宿」に挑戦したのが山形県庄内地方の宿「珠玉や」だ。
珠玉や

白壁と木の風合いでクラシカルな佇まい

珠玉や

黒い梁が重厚な雰囲気のロビー

この宿は廃業した旅館を買取り改装後にオープンさせた8室の小さな宿。玄関で竹久夢二の画に出迎えられロビーでウエルカムドリンクを頂く。古民家から移築したという黒々とした梁をはじめ所々に使わる木が温かい雰囲気を醸し出している。

 
宿がある湯田川温泉は山すそに10軒がひっそりとたたずむ温泉街。鶴岡の奥座敷と称され藤沢周平が中学校で教鞭をとったことで知られる。温泉街は時代映画のロケ地ともなり、時代小説ファンからも愛されている。庄内空港からは車で約30分。おだやかな風が吹き抜ける平野を駆け抜けるのも爽快だ。

大切な人と二人占め! 源泉かけ流しの湯

珠玉や

鳥海山が一望できる貸切風呂

宿の自慢は3つの無料貸切風呂。貸切風呂といっても膝を曲げて縮こまって入るのではない。「足を思いっきり伸ばさないと旅先で風呂に入った気がしない」という風呂好きも十分に満足できる広さなのだ。おすすめは最上階にある展望露天風呂「まんてん」。浴室の大きな窓から庄内のシンボルである鳥海山が一望できるという最高のロケーション。しかも予約制ではないので浴室前に札がかかっていなかったら好きな時に何度でも入りたい。

 

珠玉や

九兵衛旅館には露天風呂も(貸切ではない)

また、湯巡り気分を楽しみたいなら歩いて約1分のところにある姉妹館の「九兵衛旅館」へ浴衣を羽織って出かけよう。大きな水槽に泳ぐ魚たちを見ながら入る湯船やウサギのかわいらしいオブジェが迎えてくれる露天風呂がある。2つの宿はもちろん源泉かけ流しだが、加温もしていない正真正銘の源泉かけ流しを体験できるのが共同浴場の「田の湯」と「正面湯」。

 

珠玉や

宿から歩いて1分の共同浴場の田の湯

実はこの湯田川温泉の開湯は古く約1300年前に逆上り県内屈指の良泉として知られている。お湯は無味無臭だが湯のあたりは極めて滑らかで湯冷めもしにくい。

その理由は源泉の温度とその量。適温の約42度の湯が毎分1000リットル湧いているのだ。共同湯ではその源泉を足すことも引くこともなく、そのままの成分が注がれているというのだから贅沢極まりない。しかも料金が200円とは良心的だ。

次ページで、旬の絶品郷土料理が味わえる食事をご紹介しよう。