1. 年度の途中で担当が代わりやすい
あたりまえですが、大学生講師の本分は生徒を指導して成績を上げることではなく、自分の学業です。数あるアルバイトの中でも塾講師の時給は高めです。その時給の高さにひかれて始めてみたものの、テキストの予習、宿題用プリントや確認テストの作成など教務的な準備から、授業前後の生徒・保護者フォロー、土日・祝日の模試監督や保護者面談、説明会運営などへの出勤など、附帯業務の多さから、続けられなくなる学生は少なくありません。途中で講師が変わると一貫した指導が途切れ、生徒は新たな指導に慣れるのに時間がかかります。もちろん社会人講師も年度の途中で交代することはありますが、学生に比べればずっと可能性は低いです。2. 子どもの指導経験不足
子どもの性格はさまざまですが、5年、10年と多くの生徒を指導していくうちに、いくつかの傾向、性格パターンが見えてきます。こういう子ども、こういう状況ではどんな態度で接し、どんな言葉をかけるといいのか、それがわかってきます。そうなると、感情的に叱りつけたり、簡単にあきらめたりしてしまうことがなくなります。余裕を持って諭したり、長い目で成長を見守ることができるようになってきます。ひとことでいうと、経験による「指導力」が備わります。経験1~3年程度の大学生アルバイト講師にそんな指導力を求めるのは、なかなか難しいところです。3. 入試指導経験不足
ベテラン講師の頭には、数十校の学校の、十数年度分のおおよその入試問題が頭に入っています。ゴールを熟知しています。どの時期に、どれくらいの内容を、どれくらいの深さで理解させ、できるようにさせる必要があるか。そんな入試日までの指導スケジュールを踏まえ、何百人、何千人の教え子たちがよく誤解した問題、なかなか理解できなかった内容、覚えてもすぐに忘れてなかなか定着しない単元を、どう強調し、どれくらい反復すれば身につけさせられるかよく知っています。教える情熱だけではカバーできない入試指導経験があるので、成績につながる合理的な指導ができるわけです。このような点も、大学生アルバイト講師に求めるのはムリがありますよね。その子にとってのいい講師は、結局のところは相性で、学生アルバイトかベテラン講師かはあまり関係ないのかもしれません。ただ、大学生アルバイト講師ならではのメリットとデメリットを知っておくのは、賢い塾選びにおいてきっとプラスになるはずですよ。