オープンカーとしての利便性等も大きく向上
前身であるニュービートル カブリオレに対して、前ページで述べたようなクルマとしての基本的な部分が改善されているだけでなく、オープンカーとしての利便性も向上しています。ニュービートル カブリオレでは、ソフトトップの開閉時に手動でルームミラーわきにあったハンドルを操作してロックを解除したり閉める必要がありましたが、今度のザ・ビートルカブリオレでは完全自動化されています。ソフトトップの開閉は、わずか約10秒で完了し、50km/h以下であれば走行中でも操作が可能です。6 層構造のソフトトップは、静粛性と対候性とも非常に優れ、閉じると本当にオープンカーなのかと思うほど静粛性が高くなるし、後方視界もそれほど悪くありません。そして、トップを閉じても絵になるところも特徴です。
そして、大人4人が満足に乗れる座席を持つオープンカーであるという点も、このクルマの大きな魅力であり、世にある他の数々のオープンカーを含めても貴重な点でもあります。ベースモデルと同じく、インパネやドアトリムの上部にボディ同色のパネルを配したポップな演出を図っているのも特徴です。
オープンカーだからこそ、より重要となる安全性についても、基本的な装備に加えて、横転の危険性を感知すると、エアバッグの制御システムと連携して瞬時に飛び出すロールオーバーバーを備えています。
ドライブフィールは、このクルマの大元のベースであり、このクラスの世界標準である6代目ゴルフの良さを受け継いだ、しっかりとした走り味。加えて、あまり過度にスポーティさを追求していないソフトライドな味付けのサスペンションや、サイドウォールの厚い大径タイヤのおかげで、乗り心地はとても快適。気になるオープン化による剛性感の低下も、あまり気にならないレベルに抑えられています。1.2リッター直噴エンジンに、デュアルクラッチ式のDSGの組み合わせたパワートレインによる、動力性能にも不満はなく、燃費も良好です。
フロントスクリーンが立ち気味である上、外界に晒される面積が広いため、風の巻き込みは大きめではありますが、そのぶん開放感が非常に高いのも、最近そうではないオープンカーばかりとなった中ではなおのこと、特筆できる部分でしょう。
ベースモデルとの価格差は72万円。もちろん価格に関係なく屋根付きのほうが好みという人もいるわけですが、とりわけビートルの場合は、予算さえ許せばカブリオレを選んだほうがいい! と個人的には大いに思う次第です。
1.2リッター直4直噴ターボエンジンを搭載。最高出力77kW[105ps]/5000rpm、最大トルク175Nm[17.8kgm]/1500-4100rpm。JC08モード燃費は17.6km/L。10スポークの「Whirl」アルミホイールに215/60R16サイズのタイヤを履く