英語/英語学習の基本

あなたの英語が通じない理由ー日本語と英語の世界観ー(2ページ目)

「英語の発音はだいじょうぶ。文法も完璧。それなのに、あの人は何を言っているのかわからない」。英語がある程度出来る日本人に対するこのような英語評があります。この背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

水野 稚

執筆者:水野 稚

英語学習ガイド


一方、低文脈文化社会では、「あ・うん」のやり取りが高文脈文化社会ほどは通じません。

基本的に同じ言語で用が足せ、文化的にも均質性の高い日本社会とは異なり、異なる民族、文化、言語が入り交じる社会では、コミュニケーション全体に占める言葉そのものへの依存が高くなります

別の言い方をすれば、「言葉で言い尽くす社会」と言えるでしょう。ですから、上司からの誘いを断る時には、言葉である程度言い切らないといけない訳です。

この2つの社会のコミュニケーションの方法を「言葉」と「慣習やルール」の暗黙の了解に分けて、その割合がどのくらいかを表にすると以下のようになります。
高文脈文化社会とは

高文脈文化社会とは






気をつけたいのは、低文脈文化社会にも気遣いがあり、いわゆる「察し」が存在しているということです。「察し」は日本特有だと考える向きもあるようですが、そんなことはありません。オックスフォードに在籍していた各国の学生達は、むしろいわゆる日本人的な「察し」や「気遣い」にあふれていることを体験しました。

しかしながら、ちょっとしたやり取りはいざ知らず、何かを議論したり書いたりしようとする時は、「言葉で言い尽くす」ことが求められます。「これは言わなくてもわかるよね」が通じないのです。留学中は、課題のエッセイで苦労しました。

ではどうすればいいのか?—実践編—

以上のようなことを踏まえて、上記の先輩や上司からの飲みの誘いを「高文脈文化社会的な言い回し」から、「低文脈文化社会的な言い回し」に変換してみましょう。

●高文脈文化社会的な断り方:
「あの、ちょっとー今晩は……」

○低文脈文化社会的な断り方:
’I wish I could, but I have another appointment tonight with friends. Thank you for asking anyway(是非とも行きたいところのですが、今晩は友人と別の予定が入っているんです。でも、お誘いありがとうございます。).’

このように、「行けない」ということを明確に伝えます。でも、「行けたら良いのですが」という一節ではじめることや、誘って下さった事自体に御礼を述べることで、丁寧さを出すことが出来ます。

いかがでしょうか?
このような断り方なら、はっきりと断るのが苦手な多くの日本人にとっても、それほど負担のない言い回しですし、このような穏便で思いやりのある断り方は知性を感じさせ、好かれることはあっても揶揄されることはまずないでしょう。

日本語と英語の世界を行き来する感覚があると、会話はもちろん、読み書きの力が飛躍的に伸びます。このような感覚を踏まえながら、英語学習を進めてみて下さいね。
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