「産後ケア施設」は出産後の回復をはかるための施設
産後、ゆっくりできる場と時間があるのは助かります
<目次>
出産後1ヵ月は体を休める
妊娠・出産は女性の心身にとって一大事です。日本でも「産後の肥立ち」などと言われますが、出産後、体が徐々に正常に戻る過程では無理をしてはいけない、とされています。私もその昔、経験しましたが、産後、入院中に本を読んだらひどいめまいと頭痛に見舞われました。また、退院後、早々に来客があるからと、ムリをして家事をしたり、買い物に出かけたときも、悪寒と立ちくらみで倒れそうになった経験があります。
最近は、産後に無理をすると将来、子宮下垂や子宮脱などにもつながることも指摘されています。どんなに気力はあっても過信は禁物で、体調がある程度戻るまでの1ヵ月ほどはゆっくり体を休めないといけないのが産後なのです。
日本だと、里帰りをしたり、家に実母や義母が来て家事などを手伝ってもらって、寝たり起きたりしながら、ベビーの世話に慣れていきます。
しかし、特に自宅に親や義母に来てもらうと心身が休まらなかったり、産後の不安定な時期でもあるので些細なことからトラブルになることも……。
「産後ケア施設」が日本にも増え始めている
韓国や中国では出産後の女性が心身を休める場として「産後院」があります。日本ではほとんどなかった施設です。核家族の増加でニーズが増えているほか、親に頼れない、頼りたくないなどの微妙な関係性なども理由としてあるかもしれませんが、最近は徐々に増え始めています。しかし後述しますが、費用面では一般の妊婦が何日も利用するには高額のため、日帰りか1、2泊くらいで、1~2週間などの利用は難しいかもしれません。
ある施設では、高級な調度品に囲まれた完全個室の空間で、野菜中心の食事をいただきながら、ゆったりと過ごすことができます。アロママッサージを受けたり、骨盤矯正を学んだり、沐浴やベビーマッサージについて指導を受けたりします。専門のスタッフに育児の不安を相談することもできます。
出産後の心と体を休めながら、一方で、子どもにだけ関わることで、静かに母親としての覚悟を固めているのだと思います。
産後ケア施設では受けられるケアや費用は?
関東の一例として、以前東京・赤坂で運営されていた「とよくら産後ケアハウス」では、助産院に併設して作られ、別の病院で出産をした女性でも利用できる仕組みになっていました(2021年2月現在閉院)。産後ケアのサービスには日帰りと宿泊があり、当時の料金は次のようになっていました。サービスの内容も料金も施設で異なりますので、あくまでも一例として、ご参考までに見てください。
<産後ケア利用費の例>
●1泊2日 : 6万4800円~(税込)
*食事、アロママッサージ、各種指導などの料金含む。
*産後ケアの内容は、利用者と相談し回復具合などをみながら日数・内容を決める。
●日帰りプラン : 2万円(10:00~15:00)
*昼食つき。
*希望により、アロママッサージケア(別料金・事前予約要)、フットバス、授乳アドバイス、育児相談、沐浴指導なども受けられます。
産後ケア施設は自治体での取り組み始めも
一部の自治体でも、産後ケアに取り組み始めています。世田谷区の例で概要を見てみましょう。<自治体の産後ケアの例(世田谷区)>
内容 : 産後4ヵ月未満の母子を対象に母体ケア、乳児ケア、育児相談・指導などを行う
対象 : 世田谷区にお住まいの生後4ヵ月未満の子どもとその母親で、産後に育児不安や体調不良があり、ご家族などから支援を受けられない方
日数 : ショートステイは7日間まで、デイケアは7日間まで
費用 : 母子ショートステイ…1泊2日9000円(1日4500円)、母子デイケア…1日3000円(※住民税非課税世帯・均等割のみ課税世帯・生活保護世帯には減免も)
問合せ : 近くの子ども家庭支援センターへ
費用は自治体の方がリーズナブルですが、「産後に育児不安や体調不良がある場合」に限られます。
ご出産を控えた方は、自治体にこうしたサービスがないか1度確認してみるといいでしょう。自治体にそうしたサービスがなく、希望があれば、民間のサービスも検討してみるのもいいかもしれません。
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