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富裕層に大激震?!所得税の最高税率が引き上げへ(2ページ目)

平成25年度税制改正大綱によると、平成27年より所得税の最高税率が現在の40%から45%に引き上げられることとされています。富裕層や高所得者にとっては重税感が増しているのは事実ですが、「年収の半分以上持っていかれる」というのは誤った情報と言えるのではないでしょうか。税制改正の内容、そして税制の仕組みの“誤解しやすいポイント”について解説します。

田中 卓也

田中 卓也

税金 ガイド

税理士

税理士であるガイドが避けては通れない税金の問題について、専門用語もかみくだいてわかりやすく解説。

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所得税の課税の仕組み~年収に税率が課されるわけではない~

所得税の税率が課されるのは年収でも所得金額でもありません。課税所得金額です。このようなことを誤解が「年収の半分以上(つまりは55%)持っていかれる?!」といったことにつながっていると考えます。

下記のイメージ図のとおり、年収や年商といった収入金額から必要経費を差し引いたものが所得で、所得からさらに14種類の所得控除の適用を考慮した後の金額が課税所得金額です。
課税所得算定のイメージ図(図表:筆者作成)

課税所得算定のイメージ図(図表:筆者作成)

例えば「年収3億円のタレントの税金はいくら?」などといった質問を頂戴してもそのタレントが雇用契約なのか、業務委託契約なのかといったことが分からなければ所得の区分がわからないので、必要経費の算定方法もわかりません。前者は給与所得、後者は事業所得なので必要経費の算定方法が異なるのです。

また、14種類の所得控除とは、納税者個々人の事情に応じた担税力を考慮した制度となっているので、そのタレントの個別かつ具体的な事情が分からなければ知る由もないといったこととなります。

課税所得金額が4000万円以上の場合には、平成27年分以降の所得税より45%という税率区分が設けられる方向性が打ち出されてはいますが、必要経費や所得控除を差し引いた後の金額ですので、年収や年商に対して課される仕組みではないのです。

したがって、
  • 必要経費に何が計上できる?
  • 14種類の所得控除って何?
といったことを研究するのが、所得税の節税ポイントとなるでしょう。


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