平成25年度税制改正大綱が平成25年1月24日に発表され、それにより今後の税制改正の方向性が見えてきました。所得税の税率区分という点について言うと、最高税率が40%から45%に引き上げられたことがあり、富裕層や高所得者にとっては重税感が増しているようです。その中でも特に「年収の半分以上持っていかれる」というのは誤った認識といえそうです。なぜ、そのような誤解を招くのでしょうか? 税制改正のポイントと課税の仕組みの2点について、解説していきます。

「所得税の最高税率が引き上げ」とは?

税制改正により、平成27年分以降所得税から、総合課税される所得の最高税率が引き上げられる方向性にあることは事実です。具体的には、現行の税制に課税所得金額4000万円超という区分が設けられ、そこに課される税率が45%となることになります。
税制改正適用後の速算表(税制改正大綱より筆者作成)

税制改正適用後の速算表(税制改正大綱より筆者作成)


住民税の所得に関する税率(所得割の税率)は一律10%なので、所得税の税率と住民税の税率を単純に加算すると
  • 45%+10%=55%
とも考えられることなどから、「年収の半分以上(つまりは55%)持っていかれる?!」といったことが喧伝される理由のひとつなのでしょう。

所得税の課税の仕組み~超過累進税率~

ですが、実際には課税所得金額が4000万円以上の場合であっても、全額に45%の税率が課されることはありません。所得税の総所得金額に課される課税の仕組みは「超過累進税率」といって、高い部分だけ抜き出し、より高い税率が課されることとされています。つまり、低い部分については低い税率のままで良いのです。具体的な計算方法でみてみましょう。

例えば課税所得金額が500万円の場合には、
  • 0~195万円…………5%課税
  • 195~330万円………10%課税
  • 330~500万円………20%課税
というように、課税所得金額が高くなればなるほど、高い部分だけ抜き出し、より高い税率が課される仕組みになっています。

そして、上記を計算するとそれぞれ、
  • 0~195万円…………5%課税=9万7500円
  • 195~330万円………10%課税=13万5000円
  • 330~500万円………20%課税=34万円
となり、総合計は57万2500円となります(この金額は上記に掲載した速算表で求めた500万円×20%-42万7500円に一致)。

課税所得金額500万円全体に20%が課されると、500万円×20%=100万円という税額が算出されるので、上記で計算した57万2500円とは、おおよそ42万円もの差が生じることとなります。

このように、超過累進税率とは、課税所得金額の高い部分だけ抜き出し、高い税率が課される仕組みなので、課税所得金額全体に高い税率が課されるわけではないのです。