定年・退職のお金/老後資金の貯め方

公的年金だけでは赤字? 年金に頼らない「老後貯金」の方法

人生100年時代といわれていますが、公的年金の給付水準は下がっていくと予測されています。自分で老後資金を準備することは必須となります。老後資金の準備方法としては「財形年金制度」や「個人型確定拠出年金制度(iDeCo)」、「マッチング拠出制度」があります。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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老後用の貯蓄をするなら、どんな金融商品を使う?

退職金に頼らず、老後貯金をするには

退職金に頼らず、老後貯金をするには?

人生100年時代。公的年金の給付水準は下がっていくと予測されており、老後資金の準備は必須です。準備の方法としては、おもに会社が制度を導入していれば利用できる「財形年金貯蓄」と、「個人型確定拠出年金制度(以下「iDeCo」とする)」がまずは、挙げられるのではないでしょうか。
 

会社が導入しているならば「財形年金貯蓄」で積み立てを

まず老後貯金の貯め方として、初心者にも始めやすいのが、「財形年金貯蓄」。会社員の福利厚生としての財形貯蓄制度のひとつで、会社が導入していれば利用できます。55歳未満の会社員が利用でき、60歳まで原則として引き出すことはできません。毎月一定額を、給与天引きすることで貯蓄していきます。

メリットとデメリットは以下になります。また財形貯蓄制度を利用する上で、別途手数料がかかるということはありません。勤務先によって、預貯金、保険、投資信託等、運用する金融商品のラインナップが違いますが、選択した金融商品によっては元本割れする可能性もあります。

●メリット

・ 同じく財形貯蓄制度のひとつである財形住宅貯蓄と合わせて積み立てた貯蓄と利息合計で550万円まで利息が非課税となります。


●デメリット

・60歳になる前に解約した場合は、利息や差益に課税されるので注意。
 

iDeCoは60歳まで引き出せませんが、定期預金や年金保険などの元本保証型も選ぶことができ、節税メリットが大


一方、iDeCoは、会社員や公務員、自営業者、学生、専業主婦など現役世代の原則20歳以上60歳未満(2022年5月以降は国民年金に加入している65歳未満)のほぼすべての人が加入できる制度です。10年以上加入すると60歳以降70歳(2022年4月以降は75歳)までの間に一時金や年金で受け取ることができます。2021年12月時点の加入者は227万5454人(iDeCo公式サイト「業務状況」)です。

iDeCoは投資信託で運用するものと考えがちですが、運用商品には元本確保型(定期預金や年金保険など)もあります。税金の優遇があるため金融商品の中でも、メリットはピカイチです。「老後貯金」準備に役立ちそうですね。

ただし、掛金の額や口座を設ける金融機関によっては、優遇措置があってもさまざまな手数料負担から元本を割り込む可能性がありますので、加入する前に金融機関の取扱金融商品・手数料・サポートサービスの内容を比較し検討することがとても重要です。

また、iDeCoは、月5000円から積み立てができますが、60歳まで原則として引き出しができないので、イザというときのお金は普通預金や定期預金できちんと準備しておく必要があります。手元のお金が心もとない人は、ある程度お金が貯まってから、iDeCoを検討してもいいと思います。

では、iDeCoのメリット・デメリット・注意点をご紹介します。

●メリット

  • 拠出した掛金は全額を小規模企業共済等掛金控除として所得控除を受けることができる……例として考えると、所得税と住民税合わせて30%の人が2万円/月を拠出すると、所得税+住民税が7万2000円軽減するということです(復興特別所得税は考慮せず)
  • 運用中の利益は非課税です
  • 受け取りは、一時金、年金、一時金+年金の3つ。一時金での受け取りは「退職所得控除」、年金受け取りは「公的年金等控除」が受けられます

●デメリット
  • 引き出しは原則60歳以降。急にお金が必要になっても中途引き出しは原則不可
  • 運用結果は自己責任。運用次第で掛金割れ(=元本割れ)の可能性があります

●注意点
加入から受け取りに至るまで次のような手数料がかかります。※すべて税込み
  • 加入・移換時手数料(初回1回のみ):2829円
  • 移換手数料:他社へ資産を移す時にかかる費用。金融機関によって異なる。4400円程度が多い
  • 掛金拠出時にかかる口座管理手数料:事務手数料(国民年金基金連合会に年間1260円)、資産管理手数料(信託銀行に年間792円)、運営管理機関手数料(金融機関により異なる)
  • 年金の受け取り時にかかる給付事務手数料:送金1回あたり440円
  • 還付時(掛金の払い戻し時)にかかる事務手数料(還付金から控除):国民年金基金連合会に1048円、事務委託先金融機関に440円、運営管理機関手数料(金融機関により異なる)

専業主婦は、そもそも課税所得がないので所得控除は活用できず、上記の手数料負担が重くのしかかります。加入するメリットがあるか、じっくり考えましょう。
 

60歳以降、iDeCoの受け取るときの出口戦略にも注意

iDeCoは、受け取り方によっては税金や手数料の負担が大きくなることがあります。例えば、一時金で受け取る場合、退職所得控除枠はその前年から遡って19年以内(2022年4月から)に受け取った退職一時金との合算になります。年金受け取りでは公的年金等として課税対象になるだけでなく給付手数料が毎回必要です。効率よく受け取るためには60歳前に老後の生活資金繰りを試算し、公的年金の繰り下げ受給を含めた出口戦略が必要です。
 

もし、会社に制度があれば「マッチング拠出制度」を活用すると効率よく老後貯金ができる

最後に「マッチング拠出制度」にも触れておきます。iDeCoは、個人が加入する確定拠出年金です。一方、企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が加入し企業が掛け金を拠出します。企業型DCに併せて、加入者が掛金を上乗せして拠出できる「マッチング拠出制度」を導入している企業もあります。

その場合は、企業の掛金の額によりますがiDeCoに加入するよりも、「マッチング拠出」制度を利用したほうがいいのではないでしょうか。iDeCoでは必要な手数料が不要となりお得だからです。

つまり「マッチング拠出制度」を利用すると定期預金や年金保険など元本確保型商品で運用する場合は、iDeCoより効率よく老後貯金できますよ。


※iDeCoについて詳しくは「iDeCo公式サイト」でご確認ください。


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