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春~夏が旬! シェーヴルチーズ(2ページ目)

小さくて個性的な形、真っ白できめ細かい内層、独特の匂い、酸味からコクへと変化する味わい、灰やハーブをまぶしたりと様々なアレンジが特徴の山羊乳チーズ、シェーヴル。実は紀元前数千年も前から地中海地方の人々によって作られてきた、牛乳製よりも歴史の古いチーズです。今でもスペインやギリシャ、イタリアなど、様々な国で作り続けられていますが、今回は日本でも手に入りやすいフランスシェーヴルについてご紹介します。

小笠原 由貴

執筆者:小笠原 由貴

チーズガイド


製法

酸味が特徴のシェーヴル。他のチーズは凝乳酵素(レンネット)でミルクを固めるのに対し、シェーヴルでは主に乳酸発酵によってミルクを固めているのが、酸味の理由。大まかですが、シェーヴルチーズの製法は以下の通りです。

  1. 搾乳した山羊のミルクを温め、乳酸菌を加えて1~2日乳酸発酵させる。凝乳酵素のレンネットも加えてミルクを固める。
  2. 固まったミルクを濾して固形分を型に入れ、1日かけて水を切る。
  3. 塩を振りかけて加塩する。※この後、チーズによっては炭の粉をまぶしつけることもある。
  4. 室温10~11℃、湿度80%の環境で、時々手で反転しつつ、必要に応じて熟成させて出来上がり。

バラエティー豊かな形

シャロレ

ボンドン(樽栓)型のシャロレ

ロカマドゥール

メダル形で小さな“ロカマドゥール”

セル・シュール・シェール

台形っぽい円盤状の“セル・シュール・シェール”炭の粉をまぶして仕上げています。

メダル形、俵型、ピラミッド形、丸太形、コルク型、ボンドン(樽栓)型……。

シューヴルはみんな小さくてカワイイ形ですね。なぜなら、山羊は1頭あたりの搾乳量が、平均1日2.5L。牛の1/10以下です。また、山羊乳の性質上、もろく壊れやすい。だから、どうしても大きなチーズを作る事が出来ず小さなチーズになってしまいます。でも、この小さくてバラエティーに富んだ形もシェーヴルの魅力の1つ。それに、シェーヴルは味わいの似たものが多いので、形はチーズを見分けるのにとても役立ちます。














味わい

シェーブルの味の特徴と言えば、まずは酸味。乳酸発酵主体でミルクを固めて作るため、ヨーグルトのように爽やかな酸味がチーズに残ります。この酸味は若いほど強く、熟成が長くなるにつれて柔らかく変化していきます。そして酸味が和らぐのとは反対に、熟成が進むと今度はナッツの様なコクが生まれます。しっかりと固く熟成させたシェーブルを口の中で溶かすようにして食べると、心地よく余韻の長い旨味が広がり、とても美味しくいただけます。

こうした熟成による味わいの変化を楽しめるのも、シェーヴルの魅力です。

香り

シェーヴルと言えば、独特の匂いやクセが強くて食べにくい印象がありますが、確かにその通り! 獣臭と表現される匂いがあります。実は私もこの匂いは苦手。食べてみて“やっぱりムリ!”という事も数知れず……。しかし、熟成の仕方や状態で全くこの匂いがしなかったり、逆に匂いが強かったりするので、苦手な方も山羊だからと食べないのではなく、ぜひ、試しに少し食べてみて下さい。こっくりとしたナッツのようなコク、滑らかな舌触り、程よい酸味が相まって、本当に幸せな出会いとなる事もあります。
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