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いまだからこそ注目される引き戸(2ページ目)

引き戸をプランに取り込むことで、バリアフリーにも対応した、使いやすい家が実現します。日本古来の文化である引き戸を上手に活かしましょう。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

引き戸の弱点を克服した魔法の間仕切り

マネット
フレームのないガラス引き戸はこれからのトレンドである。写真は上吊り式のガラス引き戸。開口部に被せるようにして設置する「マネットガラススライディングドア」。スガツネ工業

アペルト
収納式の間仕切りパネルを利用すれば、空間をより機能的に仕切れる。開けたときはパネルをコンパクトに格納でき、閉めると壁面のようになる「アペルト60/H」。スガツネ工業
引き戸の長所は、大きな開口部を開きっぱなしに出来ることです。これはドアにはない特徴です。しかし弱点もあります。引き違い戸の場合、引き戸を取り外さない限り、開口部の最大の幅は、全幅の2分の1です。

この弱点を克服したタイプの間仕切り戸もあります。連続間仕切り収納引き戸は、引き戸を収納していくことで、ほぼ全面の開口が出来ます。閉めた時は壁のようにフラットになるので、来客の際に隠したい場所を部屋ごとクローズすることもできます。

また強化ガラスを使った美しいデザインの引き戸もあります。壁面全体をガラスにして、引き戸もガラスにするといった斬新なデザインも可能です。室内ドアを引き戸にすることで、より使い勝手のよい部屋づくりができます。

家庭用の自動ドアもあります

リニア
家庭用の室内自動ドアは、高齢者にも使いやすい。停電などの時も手動で開け閉めできる アトムリビンテック
引き戸は、バリアフリーの視点からも注目されています。リニアモーターカーと同じ原理を利用した家庭用の自動ドアは、軽く引くだけで開き、自動的に閉まります。車椅子を利用している場合も、一人で部屋を行き来できます。

万一挟まれたときは自動で開く仕組みなので安全です。また、開けるのは手動ですが、自動的に閉まる引き戸もあります。

プランニングの中に引き戸を上手く利用することで、空間のつながりをコントロールしていく事が出来ます。元々は日本の民家の知恵ですから、内装壁で空間を仕切るよりも、日本の暮らしには適しているといえるでしょう。

民家の知恵を今に活かしていく

このように日本の伝統住宅は、海外のデザイナーから研究され、その要素はモダンデザインに活かされています。ここ数年のミラノサローネで話題になったシンプルな構成の壁面収納も、元をたどれば、武家屋敷などの書院からヒントを得ているようです。

日本の伝統というと、工芸品や職人の手仕事などをイメージしがちですが、このようなプランニングの部分にも、学ぶべきものが沢山あります。姿や形は違っても、民家の知恵を活かすことで、オープンで自由な空間が実現できるのです。

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