オープンプランの元祖、古民家に学ぶ

民家
古民家の間取りの例。障子や襖を取り外すことで、和室の大空間が出現する。中廊下はなく、縁側が通路になっているのが特徴

日本の民家は、オープンプランの元祖といえます。大部屋を障子や襖で仕切り、必要な時は取り払い大空間として使う。この日本独特の知恵を、明治期に日本を訪れた外国人達は興味深く観察していました。

襖や障子を動かすことで、自由に間取りを変更できるシステムは、西洋建築では考えられません。洋式の屋敷では、部屋を転用することはほぼ不可能です。寝室は寝室、食堂は食堂としての役割が決まっていて、それに合わせてコーディネートされています。

寝室も食堂もなく、障子紙を一枚隔てれば隣の部屋、障子を取れば同じ部屋という発想は、当時の外国人には信じがたかったでしょう。

ヨーロッパでブームになった引き戸

九六間
能登の伝統住宅「九六間」。新築であっても、伝統的なスタイルを守っている家が多い地域である
引き戸を中心にした間取りは、とても合理的です。石川県・能登などでは今でも「九六間(くろくけん)」と呼ばれる伝統的な住宅が建てられています。これは、間口9間(約16.2m)×奥行6間(約10.8m)の大きな家で、結婚式などの際は引き戸を取り払い、大勢を招くことができました。

さて、1990年代の後半にはいると、日本ブームの波に乗って、ヨーロッパで引き戸がはやり始めました。障子を思わせるような、ガラスとアルミフレームを組み合わせた大型引き戸が登場したのです。

それに従って、大きなワンルームを引き戸で仕切ったオープンプランが提案されるようになりました。インテリアのコーディネートはシンプル&モダンですが、平面プランは日本の民家からヒントを得たようにも見えます。

アルミとガラスのマッチング

アルミ
すっかりお馴染みになったアルミ製の大型引き戸。大きな空間を引き戸で仕切っていくプランは、日本の民家に共通するものがある。アトムリビンテックの例
このガラスとアルミを組み合わせた大型引き戸は、日本でも高級マンションを中心にすぐに取り入れられました。大型引き戸が使われるのは、主にリビングとダイニングの間仕切りです。

リビング・ダイニング・キッチンを一体にしたオープンなプランが増えるにつれ、キッチンの音や匂いが問題になります。大型引き戸はこれらを遮断すると共に、空間にメリハリを与えることも出来ます。

ガラスには通常の透明ガラスの他に、フロスト調ガラスなどが使われ、閉め切っても何気なく隣室の雰囲気が伝わる所が人気の秘密でした。また、縦方向に桟の入った大型引き戸を使うと、天井高を高く見せることができ、横方向に桟の入ったタイプは、部屋の広がりを強調できます。

次のページで、様々な引き戸のバリエーションを紹介します。