損害保険/損害保険関連情報

「地震保険」勘違いランキング

東日本大震災を機に国民の関心が高まり、契約件数も増加した地震保険。一方で、「地震保険料は高い?」「巨大地震が起きたら保険会社が潰れるから入ってもムダ?」など、地震保険の仕組みをよく知らないがための疑問があります。これまでガイドが体験した、地震保険に対する疑問・質問をランキングにしました。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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第1位 「地震保険料は高い」 

地震はめったに遭遇しない災害ではあるが…

地震はめったに遭遇しない災害ではあるが…

私たちは様々な保険に加入し保険料を支払っています。

たとえば1世帯が支払っている生命保険料の平均額は、年間約現在42万円。すなわち月額で3万円強ですが、一方で地震保険は、保険料がもっとも高い東京都の場合でも保険金額1000万円当たりの保険料が、木造住宅で年間28,200円(昭和56年以降新築の建物。保険料は2013年3月現在の場合)に過ぎません。月額では数千円ですから、金額そのものはそれほど大きな負担感を持つような金額とはいえないでしょう。高く感じるのは、補償が建物価値の半分までであるとか、火災保険料に上乗せする分だけ保険料が高く感じるというあたりかもしれません。

地震がめったに起きない災害であることも、保険料を負担してまで備えることを躊躇させる原因かもしれません。とはいえ地震被害は、家計を破たんレベルの状態に追い込むことすらある、最大級の経済的リスク。国や自治体による支援も限られていますから、実は補償確保の優先順位の高い保険なのです。

そもそも、いろいろなリスクに対して私たちは保険に入って準備をしていますが、カバーすべきリスクに優先順位をつけることも大切です。また、火災保険には様々な補償がありますが、たくさんの補償をつければつけるほどそれに比例して保険料は高くなります。そのため、わが家に起こりうる災害リスクを絞り込んで、補償に優先順位を付けることもポイントです。負担する保険料を抑えつつ地震補償を優先したい場合には、他の補償の必要性を確認することが不可欠。火災保険をシンプルにして地震保険をセットするのも負担を増やさない方法の1つです。

【お役立ちコンテンツ】
住宅ローンあり、貯蓄なし。地震保険は必要? 
負担を抑えて地震保険に入る方法          
 

第2位「保険金をあまりもらえないから入ってもムダ」

わが国は世界中の地震の約1割が起こるという、有数の地震国。にもかかわらず、地震などの激甚災害によって被害を受けても、私たちの生活は自力再建が基本です。そこで、地震による住まいや生活用家財の被害には、地震保険を用いて備えるのが有力な方法です。

とはいえ地震は予知不能の巨大リスクですから、どのような大きな地震が起きても保険金の支払いに支障が生じたりしないよう、地震保険には以下のような独自のいくつかの契約制限があります。単独契約はできず、火災保険とセットで契約するしくみ、保険金額は火災保険金額の30%~50%まで、かつ建物5000万円、家財1000万円まで。ですから住まいが地震で全壊しても、地震保険金だけで再建はできませんし、支払われる保険金も損害額に応じた金額ではなく損害の程度に応じた3段階のざっくりした支払いとなります。

国や自治体による支援が限られるなか、それでも地震保険金を受け取れることはとても重要です。住宅ローン返済が始まり間もなく被災して家屋を失った場合、多くの世帯では頭金の支払いにより貯蓄が大幅に減っています。しかし生活再建資金となりうるだけの現金がなければ大変なことになります。家屋が倒壊すれば新しい住まいを確保しなければならず、一方で倒壊した家屋のローン返済は続く―。二重の住居費負担を強いられる事態にも陥れば、家計破たんレベルの大きな経済ダメージが現実のものとなるからです。その時受け取れるまとまった一時金は、生活再建に欠かせないものです。

地震保険は住まいを被災前の状態に原状回復させる目的としてではなく、巨大経済的ダメージを受けた時の「生活再建のための一時金」として位置付け、家計に上手に取り入れていきましょう。

【お役立ちコンテンツ】
火災保険の必要性2  自然災害に国の補償なし   
地震保険に入るべき?        
地震保険金の支払いには上限がある   
こんな時はもらえない?地震保険金   
 

第3位「巨大地震が起きたら保険会社が潰れるから入ってもムダ」

地震保険金は保険会社の破たんの影響を受けない

地震保険金は保険会社の破たんの影響を受けない

保険会社が経営破たんした場合、受け取れる保険金が影響を受けることがありますが、地震保険は別。契約先の損害保険会社が経営破たんしても、支払われる地震保険金に影響はありません。

東日本大震災では、1兆2,000億円を超える巨額の地震保険金が支払われましたが、1回の地震で支払われる保険金の総額は法律で定められ、2014年4月現在7兆円とさらに巨額。そもそも地震被害は、いつ・どこで・どの規模で発生するかが予測できず保険として成立しにくい災害といわれます。通常の保険のしくみ上では維持することは困難なので、契約者が支払った地震保険料のうち必要経費以外の分は将来の保険金の支払いに備えて積み立てられ、支払保険金が責任準備金で不足する場合、法律に基づき国も保険金の支払い責任を負うしくみです。

東日本大震災では1兆2,000億円と巨額の保険金が支払われ、責任準備金は半減する一方、地震活動期にあるわが国には大きな被害が想定される地震の発生が予測されています。こうした地震が起きた場合でも地震保険からは確実に保険金が支払われ、私たちの暮らしを守る信頼できる制度として今後も維持される必要があります。そこで2012年、財務省において「地震保険制度に関するプロジェクトチーム(PT)」が設置され、商品のあり方や制度の根本に関わる全体像について根本的な議論が持たれるなど、より安心できる地震保険制度の維持にも力がそそがれています。

【お役立ちコンテンツ】
地震保険ってみんな入っているの?
財務省 地震保険制度PT 報告書のポイント

次のページは、「地震保険」の勘違いランキング第4位~をご紹介します。
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