「7S」の要「価値観」
組織マネジメントを「組織の7S」のフレームワークに沿って考える時、何よりもまず意識をしなくてはならないのは「価値観(Shard Value)」です。リーダーが組織を立ち上げ事業を展開する際に、組織を構成するメンバーがリーダーの下で力を合わせて事業を前に進ませていくために「価値観」の共有は不可欠な事柄だからです。
これは企業だけに限らず、組織をひとつにまとめ目標に向かって一丸となって前に進ませていくためには、あらゆる組織において共通して言える事でもあるのです。ましてや、事業を通じて利益をあげることで存続たらしめる営利企業の運営にとっては、なくてはならない核となる重要なファクターとなります。
前回のエントリーで使用した「組織の7S」の図解を思い出してください。「価値観」は「ソフトの4S」に含まれはするものの、他の「S」とは異なり「7S」全体の中心に鎮座し、それを囲むように6つの「S」が位置しています。「価値観」こそ「組織マネジメント」の中心に位置し、これがあってはじめて「組織マネジメント」は始まると言っても過言でないとりわけ重要な「S」であるということが、この図からもお分かりいただけると思います。
「基本理念」と「ビジョン」
では組織の「価値観」とは一体何なのでしょうか。一言で言うとすれば、「組織とそこに属する全メンバーの行動の基準となる考え方」のことです。企業においてこの「行動の基準となる考え方」は、2つあります。ひとつは「基本理念」と呼ばれるもの。もうひつつが「ビジョン」と呼ばれるものです。
このふたつの違いを端的に述べるなら、「基本理念」は長期的な観点から企業やそのメンバーが行動する際の指針となる考え方、言ってみれば企業の存在「目的」であり、一方の「ビジョン」は中期的なめざす姿、すなわち中期「目標」のことです。実際に使われている具体例を挙げるなら、「基本理念」は「革新的な技術開発を持って国民生活の発展に寄与する企業」というように普遍性を伴う分やや抽象的に表現されるのに対して、「ビジョン」は「市場におけるシェア20%の実現」などのようにより具体性を帯びたものになります。