早藤 良太氏が作製するビスポークシューズの一例です。一見、典型的なイギリスの紳士靴の表情ですが、土踏まずから爪先にかけてのエッジの立て方にはどことなく、フランスの紳士靴の影響が見てとれます。同じく早藤氏のオーダーサンプルから。内羽根式ながらコバを僅かに広く取り、アウトソールの土踏まず部も敢えてベベルドウェストには仕上げていないので、やや重厚な印象です。しかし粗野な雰囲気とは全く無縁です。現地では「ハーフェルシュー」と呼ばれるサイドレースアップシューズは、ミュンヘンのあるドイツ南部からオーストリア・チロル地方に起源を持つ、言わばご当地靴の代表格。早藤氏のビスポークでももちろんオーダー可能です。コバの白の出し縫い糸が絶妙なアクセントになっています。切り返しのデザインが非常にユニークな、コンビのUチップです。履き口の真下でなく少し離れた所にブローギングを入れるのは、フランスの紳士靴に暫し見られる意匠。早藤氏がパリで修業をしていた経験が活かされたデザインです。つま先の切り返しがU字状になっているこのスタイルが、本来のUチップ。イギリスではその三日月形の形状から「クレッセント」とも呼ばれます。底付けはノルウィージャン製法で、以前はヨーロッパ大陸製の登山靴でお馴染みだったものです。手縫いで時間の掛かるこの底付けが可能なのも早藤氏のオーダーならでは。シンプルな3アイレットダービープレーントウも、早藤氏の手に掛かるといっそう洗練されて来ます。丸過ぎず尖り過ぎない絶妙なトウシェイプと、引き締まった土踏まずとのリズムあるメリハリは、履き心地の良さを保証しているかのようです。この写真の記事を読む※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。