マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

地震に強いマンション(10)耐震補強の例

マンションの耐震性に不安があった時は耐震診断を受け、その結果耐震性が十分でないと分かった時は耐震補強工事を行います。今回はそのマンションの耐震補強の方法について、いくつか例をご紹介いたします。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

マンションの耐震性が十分でないときは耐震補強を行いましょう。

マンションの耐震性が十分でないときは耐震補強を行いましょう。

もしお住まいのマンションで耐震性に不安があり、耐震診断を受け、建物の安全性が十分でないと診断が下ったら、建て替えを行うかもしくは耐震補強を行うなど、何らかの対応を取ることをお勧めします。

マンションの耐震補強を行う際は、専門家に相談し、各々のマンションに適した方法を選択することになりますが、今回は参考にマンションの耐震補強方法の代表例をいくつかご紹介いたします。

耐震改修の目的・方法

耐震改修とは、基本的には建物の弱点となる部分を補って、建物の耐震性を向上させることを目的に行います。耐震改修には主に以下の4つの方法があります。

1.建物の耐震性を向上させる方法

大地震に耐えられるだけの強度がない建物に対しては、建物の壁・柱・梁などを補強または新設し、建物の強度を向上させます。具体的には建物を支える壁の厚みを増したり、壁のない場所に壁を増設したり、鉄骨のブレースを入れたりする方法があります。
【図1】建物の耐震性を向上させる方法の例

【図1】建物の耐震性を向上させる方法の例(クリックして拡大)



2.建物の粘り強さ(=靭性)を向上させる方法

「建物の粘り強さ」とは、強い力がかかった時に粘ってなかなか壊れないような性質をいいます。例えば地震時に建物を支える柱に粘りがなく、すぐに壊れてしまったらどうなるでしょうか?あっという間に建物全体が崩壊してしまいます。それを防ぐために、柱に粘り強さ(=靭性)や耐力を持たせるために次の方法を用います。

既存の柱の周囲に鉄筋コンクリートを増し打ちする「RC巻き立て工法」、柱を鉄板で囲って隙間にモルタルを充てんする「鉄板巻き立て補強」、軽くて強度・耐久性の高い炭素繊維シートを柱の周りに連続して巻く「炭素繊維巻き補強」などがあります。
【図2】柱の粘り強さを向上させる方法の例

【図2】柱の粘り強さを向上させる方法の例(クリックして拡大)



また、柱と柱の周りの垂れ壁や腰壁の間にスリット(空間)を作る方法も有効です。柱とその他の部分を切り離すことで、地震時に柱が破壊されにくくなります。

次のページで残り二つの方法をご紹介いたします。
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