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Wii U失速の理由(2ページ目)

2012年12月8日に発売された任天堂の新型据え置きハード、Wii U。発売直後こそ堅調に売れていましたが、年が明けると急ブレーキがかかっている模様です。どうしてWii Uが失速したのか、その課題はなんなのか、考えてみたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

Wiiの成功と失敗

Wiiで遊ぶプレイヤーの図

Wiiを買った人が、Wii Uも欲しい、と思える決定的なポイントを作れるかが重要です

Wiiは、Wiiリモコンというデバイスに注目を集中させるように宣伝、そして広報活動を行なっていったことが功を奏し、順調に売れて行きました。一方、Wiiスポーツが上手く行きすぎたことで、リビングにおいてファミリーで遊ぶハードという印象が定着し、任天堂の多人数でワイワイ遊べるゲームは売れても、1人でじっくり遊ぶタイプのゲームが苦戦し、サードパーティーからのタイトルが減る形で後半はリリースタイトルそのものが大きく減少してしまいました。

そうすると、Wiiは折角買ったのに途中からあんまり使わなくなってしまったという人も大勢いるはずで、そういう人が「それでもWii Uは買ってみたい」と思ってもらえなければ、Wii Uの拡販は難しくなります、

Wiiが一点突破で売っていったのに対し、Wii Uはかなり多角的にハードの魅力を提案しています。ソフトは安心感のある続編タイトル「NewスーパーマリオブラザーズU」、マルチプレイはもちろん1人でもじっくり遊べる「モンスターハンター3G HDVer.」、そしてWii U GamePadを最も活用したニンテンドーランドの3本柱。さらにソフトコンテンツだけではなく、ハードの性能が上がって高解像度になったことや、インターネットやカラオケが楽しめることなど、多方面からWii Uをアピールする手法を取りました。

こうやって並べると隙の無い布陣にも思えますが、「Wii Uってなに?」という問いに一言で答えられる明快さは失われているように感じます。任天堂はこれに「スーパーなWii」というキャッチコピーをつけました。とにかく色々パワーアップしている、それを表現している言葉ですが、これが先ほど申し上げた「それでもWii Uは買ってみたい」と思わせる決定的なポイントになっているかと言えば、かなり疑問です。そういう意味では、Wiiの後半で失われた勢いを、Wii Uは引きずっている部分があるようにも感じます。

あまりに寂しい1月、2月のタイトル

Wii Uの図

流石に2タイトルではあまりに寂しいですよね

結果的に、Wii Uは任天堂のファンがまずは飛びついたものの、その後広いユーザー層に拡販することができずに、急ブレーキがかかった格好となっています。そこにきてさらに問題なのが、年明けの展開です。

2012年1月と2月のタイトルを見てみると、1月がコーエーテクモゲームスの「真・北斗無双」、2月はバンダイナムコゲームスの「タンク!タンク!タンク!」の2本だけです。しかも、「真・北斗無双」はPlayStation版とXbox360版が2012年12月に発売済み、「タンク!タンク!タンク!」に関してはWii Uのオンリータイトルとなりますが、2012年12月にリリースしたダウンロード版の有料コンテンツを全てまとめたものとなります。

月にソフトが1本しかなく、しかもそれが既に他の場所で出たことがあるものであるというラインナップの寂しさを見れば失速するのも当然、大きなテコ入れが入らなければこのままの状態がしばらく続くことも考えられます。次のポイントは、どうやって勢いを取り戻すことができるか、です。
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