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Wii U失速の理由(3ページ目)

2012年12月8日に発売された任天堂の新型据え置きハード、Wii U。発売直後こそ堅調に売れていましたが、年が明けると急ブレーキがかかっている模様です。どうしてWii Uが失速したのか、その課題はなんなのか、考えてみたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

Wii Uは勢いを取り戻せるのか

ピクミン3の図

ピクミン3など、楽しみなゲームの名前が続々と登場しました(イラスト 橋本モチチ)

任天堂は2013年1月24日にWebによるゲーム情報番組、Wii U Direct Nintendo Gamesを配信しました。番組内容は盛りだくさんで、まずは本体機能の更新予定、Miiverseの事例紹介や今後の展開について、Wii U版バーチャルコンソールとそれに先駆けて行われる「ファミコン生誕30周年」Wii Uバーチャルコンソール体験キャンペーンなどについてプレゼンテーションされました。

続いてソフトタイトルは、まず夏までに発売が予定されている「Game & Wario」、「Wii Fit U」、「ピクミン3」、そしてプラチナゲームズが開発している「The Wonderful 101」。プラチナゲームズ開発作品には、もう1つ、こちらはまだまだ時間がかかるとのことでしたが「ベヨネッタ2」についても開発現場から最新情報を紹介。Wii Uとニンテンドー3DSの両方で開発しているスマッシュブラザーズの新作についてはE3にて画面を公開するとのことで、名前は出たものの新しい情報はありませんでした。

さらに、3Dアクションのマリオ新作、マリオカートの新作、Wii Partyシリーズの新作を制作していることを発表。毛糸のカービィを制作したチームによるヨッシーを主人公にした新作、任天堂とアトラスが協力して開発を進めるファイアーエムブレムと真・女神転生のコラボ作品、ゲームキューブで発売された「ゼルダの伝説 風のタクト」のWii Uリメイク版の発売や、Wii Uのゼルダの伝説新作、そしてゼノブレイドのモノリスソフトの新作についても開発を進めていることについて明かしました。

ボリュームたっぷりの内容で、Wii Uの今後はとても楽しみです。しかし、少し気にかかることがあります。というのは、これらの発表の中には、発売時期はおろかゲームの画面も出ず、名前だけのものがたくさんあったのです。例えば3Dアクションマリオの新作、マリオカートの新作、ファイアーエムブレムと真・女神転生のコラボやゼルダの伝説新作についても、開発していますという情報だけで、肝心の中身についての情報はほとんどありませんでした。

他の作品についても、魅力ある形でプレゼンテーションができる状況になる前に出してしまっている感のあるタイトルがいくつかありました。任天堂は、比較的発売が近くなってしっかりとプレゼンテーションが出来る状況を整えてから作品を紹介する手法を多くとってきましたが、今回は明らかに中途半端な状態なものでも出してきています。動画では年の始めなので先々の情報についても紹介するという断りを入れていましたが、ガイドにはそれだけの理由で今まで守ってきたスタイルを大きく崩すやり方をしたとは思えませんでした。

今回のWii U Direct Nintendo Gamesは、Wii Uに勢いが無くなり、急ブレーキがかっている状況の中で、ユーザーの興味をなんとかつなぎとめておくために、出さざるを得なくなって情報を出している感が拭えません。中途半端な情報の出し方は、今後ユーザーをわっと驚かせるネタを先にばらしてしまった形にもなりかねない諸刃の刃ですが、それでもユーザーから関心が失われるよりは良いという選択をしたとすれば、任天堂自身が持っている危機感も伝わってきます。

Wii Uにたくさんの武器が準備中であることは分かりました、しかしそれらがいつ出てくるのかは、いまだはっきりとしません。開発が大規模化してかなり時間がかかっていると説明されたタイトルもありました。

「プラットフォームは勢いのビジネスである。」というのは、一度勢いが止まってしまうと、もう一度勢いをつけるのは大きなパワーが必要になるということを意味します。ユーザーの関心をつなぎとめつつ、Wiiを購入して満足した人はもちろん、あまり使わなくなってしまった人も、「Wii Uだったらもう1度購入して遊んでみたい」と思える決定的なポイントを作って盛り上がりを作ることができるか、それが任天堂の大きな課題になりそうです。

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