熱海温泉の旅館
古くからの代表的源泉である熱海七湯があるのは、熱海駅と来宮駅の中間の海側のエリア。今でも老舗宿や源泉掛け流しの宿は、この付近を中心とした海岸付近に多く点在しています。熱海七湯の一つ「清左衛門の湯」を掛け流しで利用する古屋旅館を始め、旧皇族久邇宮家の別荘から譲り受けた自家源泉掛け流しのホテル貫一、他にも湯宿みかんの木やホテルかつらなど、源泉掛け流しの宿があります。熱海七湯の中でも唯一温泉玉子が作れる蒸気を持つ「小沢の湯」に近いホテルアイオラも源泉掛け流しで、地元の日帰り入浴客が多い事からも泉質の良さが分かります。宿の中庭には源泉青山湯の温泉蒸気が出ており、簡単な料理も出来る温泉三昧の気軽な宿です。サンビーチ沿いの熱海シーサイドスパ&リゾートも大規模な宿ですが、敷地内の源泉熱海252号泉を掛け流しで利用しています。
坪内逍遙が晩年を過ごした双柿舎近くにあり、現代の熱海を代表する超高級宿が、全室露天風呂付きスイートの「熱海ふふ」です。客室の露天風呂はもちろん掛け流しですが、超高級宿では珍しく自家源泉掛け流しの浴場も備えている点が特筆されます。熱海駅前の高台にある高級宿「ATAMI 海峯楼」も「熱海ふふ」の姉妹館で、海峯楼は掛け流しではありませんが、「熱海ふふ」の浴場を利用可能なようです。
熱海ふふの北側にある「湯之宿おお川」も源泉掛け流しの宿。熱海ふふの南側には、熱海七湯の一つ「佐治郎の湯」を以前所有していた老舗宿 新かどやがあり、今はこの地で自家源泉平戸の湯を露天風呂に掛け流しで利用。内湯は循環併用ながらオーバーフローも多く、掛け流しと遜色ない豊富な湯量が印象に残る宿です。さらに南にある高級旅館「あたみ石亭」は、婦人露天風呂「御神木の湯」が掛け流しですが、当記事の執筆時点では浴場の男女交替は行なっておらず女性のみ入れます。
他にも熱海駅前にある改装休業中の志はみや旅館も掛け流しですし、来宮駅裏の高級旅館「WA亭 風こみち」は、全7室に源泉掛け流しの露天風呂がある上に、掛け流しの貸切内湯が2つあります。
主に大浴場に源泉掛け流し浴槽がある宿を紹介しましたが、他にも掛け流しの宿はありますし、掛け流しと循環を併用しながらも湯量豊富な宿や、貸切風呂や部屋付き露天風呂のみ源泉掛け流しの宿もあります。多種多様な宿を知り選択するのも、熱海の奥深い楽しみと言えるでしょう。
熱海温泉の入浴施設
大温泉地の熱海ですが日帰り入浴施設は小規模な所が多く、源泉掛け流しの施設が多いのも嬉しい限りです。中でも温泉好きに特にお勧めしたいのが、写真の福島屋。本来旅館ですが、気軽な日帰り温泉としても機能しており、古き良き熱海のレトロ風情に溢れている上に、掛け流しの温泉の泉質が素晴らしいのです。熱海七湯の「風呂の湯・水の湯」のモニュメントに隣接した由緒正しい場所にありますが、駐車場が無いので市役所に隣接した中央町市営駐車場を利用する必要があります。
駐車場が完備した施設では日航亭大湯がお勧め。熱海七湯の「大湯」のモニュメントに近く、掛け流しの温泉が楽しめます。他に掛け流しの温泉もある「森の城 美ing」は、開業三周年の女性専用の最新日帰りスパ施設で、山の上の方にあります。
次ページでは、熱海温泉の観光スポットをご紹介します。