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離婚にともなう財産分与後の住宅ローン控除(2ページ目)

離婚が絡むと、旧配偶者から慰謝料や財産分与を受けるケースと、旧配偶者へそれらを支払うケースがでてきます。さらに単独物件を財産分与にともない名義変更するケースと、共有物件のものを単独名義に整理するケースもあるでしょう。実務上のポイントを確認してみましょう。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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前ページに続き、離婚の財産分与として自宅をもらったが、そのローンが一部残っていた、且つ現在の名義人兼債務者(有責配偶者)が引っ越しを行い、旧配偶者がそのまま自宅に住み続けるケースを例に確認していきましょう。

旧配偶者からみた場合の住宅ローン控除

ここまできてはじめて住宅ローン控除の適用要件をみていくことになります。

居住継続要件や50平米以上という家屋の床面積要件は比較的問題はないと思のですが、耐火建築要件や借入の償還期間要件に抵触する場合があるので、ポイントをみていきます。

耐火建築要件とは
建物の新築時から耐火建築物は25年、耐火建築物以外は20年を超える場合には、住宅ローン控除の適用ができません。または昭和56年の建築基準法施行令の新耐震基準に適合するものでないと住宅ローン控除の適用ができません。

借入の償還要件とは
借入期間の償還期間が10年以上であることが住宅ローン控除の適用要件とされています。したがって、現在の名義人兼債務者の借入契約と旧配偶者の借入契約はまったく別個の契約なので、それぞれひとつの契約として償還期間を判定することになります。

共有物件だったものを単独物件にするケースでは

離婚は法務面だけでなく税務面も関係してきます

離婚は法務面だけでなく税務面も関係してきます

今までみてきたケースとは反対に、離婚を契機に、今まで共有物件だったものをどちらかの配偶者の単独物件にし、金銭的補償でバランスをとるということもあります。この場合、従前から住宅の共有持分について住宅ローン控除の適用を受けていた人が新たに離婚による財産分与で持分を取得することになります。

財産分与により住宅を取得した人が、その住宅の住宅ローンの返済をするために金融機関から住宅ローンを取り組むこととなった場合、借入期間の償還期間が10年以上といった要件ほか、その他の要件を満たせば、過去からの持分のほかに追加取得した持分の両方について住宅ローン控除の適用が可能となります。

しかし金融機関からみると、「いままで2人に貸していた貸付金が、1人になるけれど、果たして回収できるのだろうか」という視点からチェックされることになります。


以上、解説してきたように、離婚に伴う財産分与後の住宅ローン控除に関しては、金融機関等と新たな住宅ローンの契約締結ができるかどうか、という点が最大のポイントになりそうです。


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