見直し必須。長期契約では見直しを逸するリスクが
火災保険は目先の保険料にとらわれず、長期的な視点がほしい
ただし、ここまで話を単純化してソン・トクを語れないのが火災保険。火災保険の対象となる住宅建物の保険金額は、原則として「今この住宅を失ったときに、必要な再建価格」で設定することになっています。これを再調達価額といい、つまりは、被災時点で住宅の建て直しができる金額で設定しておくのが基本ということになっています。
新築時には「新築費=保険金額」は正しい設定なのですが、時間の流れとともに物価も建築費も当然、変動します。となると、建築費が上昇すれば、設定した保険金額では不足が生じる可能性があります。再建価格に不足する保険金しか受け取れないとすれば、保険金だけでは住宅の建て直しはできません。
あるいは建築費が下がれば、設定した保険金額ではかけ過ぎとなってしまう可能性があります。しかしながら、火災保険は原則、被災時点での再建価格が受け取れる保険金の上限となります。再建価格を超える保険金額を設定していても、再建価格を超える保険金は受け取れません。
つまり、火災保険は契約後も、物価等の変動に合わせて保険金額の見直しが定期的に必要であり、とりあえず契約しておけばよいというものではない、ということです。被災時に確実に保険金を受け取るためには、長期契約した場合には、5年程度で保険金額の見直しを自主的に行う必要があります。
一方で5年程度までの短めの保険期間であれば、見直しの機会が定期的に訪れますので、うっかり放置を避けることができる点がメリットといえるでしょう
長期契約の年払いでも、火災保険の保険料は少し下がる
なお、昨今の火災保険契約では「長期年払契約」をできるケースもあります。10年までの保険期間で、保険料は一括ではなく年払いとします。今は長期契約の場合には年払いでも保険料割引をする火災保険もあり、保険期間を1年として毎年保険料を支払うよりも保険料が抑えられます。
下表をご覧ください。火災保険の保険期間が1年の場合、保険料は2万5400円ですが、10年の保険期間で、保険料を年払(毎年払う)にすると、保険料は2万2600円になります。2年以上なら保険期間により年払保険料は下がりますが、6年から10年の間で割引が最大となり、この間では保険期間による保険料の違いはありません。
【火災保険の保険期間別 地震保険料一括払時の比較表】
保険期間\補償内容 | 火災・破裂・爆発・落雷・水災・風災・ひょう災・雪災 | 火災・破裂・爆発・落雷・水災・風災・ひょう災・雪災 |
---|---|---|
一括払 | 年払 | |
1年 | 2万5400円 | 2万5400円 |
5年 | 11万1400円 | 2万2800円 |
10年 | 21万5200円 | 2万2600円 |
※東京都・新築木造一戸建て:H構造、建物保険金額2000万円、一括払、風災・ひょう災・雪災の自己負担額は0円。セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険」で試算(2017年10月現在)。
5年から10年程度の保険期間なら、見直しチャンスを逸しにくいうえ、当初の大きな保険料負担も不要。さらに保険料も割り引かれますから、より納得感があるかもしれません。
なお、保険料を月払できるケースもありますが、負担する保険料総額は年払いよりも若干高くなります。
地震保険の保険期間は最長5年まで
火災保険とセットで契約する地震保険も、長期一括払契約にすると保険料が割り引かれます(下表参照)。ただし、地震保険は最長でも5年までの契約のため、火災保険と同期間の長期契約はできない場合があります。なお、地震保険は火災保険の期間にあわせて自動的に継続されます。例えば、火災保険が10年の場合は、地震保険は1年ごとの継続、もしくは5年ごとの継続などにすることができます。
保険期間 | 地震保険金額1000万円あたりの一括払保険料 |
---|---|
1年 | 3万2700円 |
3年 | 8万9800円 |
5年 | 14万5400円 |
※東京都・新築木造一戸建て:ロ構造、建物地震保険金額1,000万円、一括払。
セゾン自動車火災保険「じぶんでえらべる火災保険」で試算(2017年10月現在)。
これまで見てきたように、補償の内容や保険期間の設定次第で、火災保険料は大きく異なります。自身の家計の都合や見直しの簡便さなども含め、ご自身が納得のいく形で契約できるよう、住宅購入に先立ち、火災保険についても検討してみましょう。
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