子育て事情/ママ友

幼稚園ママ友いじめの実態……母親たちとの付き合い

幼稚園のママ友いじめの実態に迫ります。夏休みが明けた途端、幼稚園バス停のママ友グループから突然集団無視されたMさん。なぜ? 下の子を育てる母乳が止まるほど悩み、次第に明らかになった無視の原因、そして彼女の解決策とは?

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

幼稚園バス停のママ友、始めは仲が良かったのに……

ママ友いじめに悩む方も多い

ママ友いじめに悩む方も多い


空気の良い地方でのんびり育ち、就職で上京しご主人と出会ったMさん。東京郊外の人気の住宅地で子育てを始めたのですが、長男の幼稚園選びでとても悩みました。

あれこれ吟味した結果、彼女が選んだのは延長保育や習い事などのサービスが充実し、中には私立小への「お受験」をする子どもたちもいる幼稚園。環境もよく、楽しい幼稚園生活が期待されるはずでした。

先生も優しくて楽しい方ばかり。同じクラスや園バス停のお母さん達同士で自己紹介し、園生活は穏やかにスタートしました。以前は長男を保育園に預けて仕事を続けていましたが、次男が生まれたのを機に仕事を辞め、いわゆる「幼稚園ママ」としての生活にも少し興味があって、しばらくは自宅で勉強をしながら子育てに専念するつもりでした。

5人のバス停仲間、特にR子さんとは、同じ年少組の親、しかもご近所とあって、母子ともに仲良くなりました。R子さんは、東京の有名企業でOLとして勤めた後、30歳前に結婚退社、30代後半で出産した専業主婦。経済的に余裕のあるR子さんは、海外旅行も頻繁に行ってとてもお洒落です。「バブルの最後の方」にギリギリ間に合ったという若い頃の武勇伝もたくさんあり、華やかで話上手なR子さんはあっという間にバス停のリーダー的存在に。
 

突然始まった、ママ友グループのいじめ

ところが、M子さんが子どもを連れて実家で満喫した、楽しい夏休みが明けたときのこと。2学期が始まってMさんがバス停に行き、久しぶりに挨拶をすると、お母さんたちが全員M子さんに背中を向けて話を続けるのです。R子さんも、Mさんが空気であるかのように視線も合わせません。

「何かあったの?」と訊いても、みんな意味ありげに顔を見合わせるだけ。理由もわからず、毎日顔を合わせざるを得ない場所での無視にショックを受けたMさんは、ストレスで母乳が止まりました。長男の話では、仲が良かったはずのMさんの長男とR子さんの息子も、園で全く遊ばなくなったとのことでした。
 

リーダー格のママ友を怒らせた!

ママ友いじめに悩む方も多い

Mさんはダウンしてしまい、母子で園を1週間休みました。休み明けに、バス停の一人のママがこっそり打ち明けてくれたことには、「R子さん、『Mさんとは合わない。子どものお友達は選ばなきゃ』ですって」。小学校受験塾にも通う「お坊ちゃん」イメージのR子さんの息子と、のびのび育っているMさんの息子は、確かにカラーが違います。

また、流行に疎いMさんはR子さんを細かい事で何かとイライラさせていたようなのです。R子さんが海外で入手してきた、ご自慢のファッションアイテムの価値を知らなかったり、お受験にも興味がなく「小さい子に無理させるのは可哀相だと思う」と率直なコメントをしたり。

R子さんがママ友を取りまとめて少し遠いレストランでのランチを企画した時も、Mさんは「次男がまだ小さいので」と丁重にお断りしたのですが、それもR子さんを「せっかく誘ってあげたのに」と怒らせてしまった模様。
 

狭い人間関係を卒業、仕事復帰へ

ママ友関係に疲れたMさんは、同じバス停や近所にこだわらず、親子共に気兼ねなく付き合える友達と連絡を取るようになりました。次男が1歳を過ぎると保育先を探し、仕事のスキルアップの講座にも参加するようになりました。

いつしか、R子さん達はそれぞれ自分や子どもの習い事に忙しくなり、自家用車で送迎を開始して、あんなに密だったバス停グループもあっさり解散。バス停は本来の「バスを乗り降りするための場所」になり、Mさんの人間関係も次男の保育園や講座の仲間へと広がりました。
 

本当はみんな、ママ友グループ内の息苦しさに悩んでいたのかも

長男も今や小学生高学年となり、Mさんは当時を振り返ってこう言います。「ママ友付き合いは拘束時間も長いし、噂話も息苦しかった。彼女達も本当は自分に自信がなく、心の中では嫌だと思っていても言えなかったのでは。次男は保育園だったので、親も子も気ままに過ごしました。お母さんたちがみんな仕事に忙しくて、ねちねちとママ友付き合いするほどの時間の余裕なんかない、それって逆に健全だなと感じましたね」。

「私は空気が読めなくて、丁度いいスケープゴートだったのかも。どこに行っても、過度にべったりしたり仲間はずれにしたりする、女子中高生みたいな精神のお母さんっているんですよね。あらためて考えると、全くいい大人のすることじゃないのだし、相手にしなければよかったのだけれど、どうしてあの時は我ながらあんなに思い詰めたのかしら。今思うのは、結局あの一件は仕事復帰への背中を押してくれたんだということ。私には仕事があってよかった。ママ友の『政治』にどっぷり浸かっているお母さん達には、逃げ道がありませんから」。

微笑むMさんの言葉には毅然とした響きがあり、母親として、社会人としての自信を感じさせるのでした。

ママ友トラブルの具体的な対処法については、記事「もう悩まない!恐怖のママ友トラブル、タイプ別対処法」をご覧ください。新しい環境がスタートする人も、これまでの人間関係を整理したいと考えている人も、必見です!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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