「日雇派遣」原則禁止など規制が強化されました!
派遣業に関わっている企業は法改正への対応を急ぎましょう
一方、社会経済状況がますます混沌としているのも事実。経済の冷え込みで企業は人員削減策をとっています。「派遣切り」などといった言葉が新聞などのマスコミで報道されたことは記憶に新しいところですね。こうした中、今般、労働者派遣法の規制が一転強化(法改正)に向かいました。派遣労働者を保護すると伴に、派遣業に関わっている企業への規制が厳しくなったのです。
労働者派遣は賛否両論がありますが、労働力の需要と供給の調整をとるための制度であることは事実です。これを踏まえ今回は主な改正内容と、企業への影響(対応ポイント)を解説していきます。影響は、派遣業を営んでいる企業だけではありません。派遣労働者を受け入れている企業にとっても影響が及びます。また派遣労働者に直接影響を受けるものも多くありますので、トラブルなきよう対応を急ぎましょう!
まずは派遣元・派遣先・派遣労働者の関係を再確認!
労働者派遣は、雇用関係と指揮命令関係が異なるイレギュラーな形態。失業者の就業の機会を増やす目的などから、一定の条件を基に許されてきた事業です。派遣労働者から見れば、業務内容により非常に不安定な働き方を余儀なくされる働き方と言えます。
・派遣元(派遣会社)=派遣労働者を直接雇用している企業
・派遣先=派遣労働者を受け入れている企業
・派遣労働者=派遣元と雇用関係。派遣先と指揮命令関係。
(雇用関係と指揮命令関係が分離されている)
派遣会社の事業所の皆様へ(厚生労働省リーフレット)から抜粋
労働者派遣法の改正は平成24年10月1日施行済
(労働契約申し込みみなし制度のみ、平成27年10月1日施行)
今回の改正では、派遣元・派遣先どちらか一方に規制がかかるものと、両者どちらにも規制がかかるものがあります。派遣業に関わっている企業では、自社がどちらに該当するかを確認しながら読み進めてください。主な改正点(11項目)と実務ポイントを以下で解説していきます。日雇派遣が原則禁止されました(派遣元への規制)
雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。「日々または30日以内の期間」で雇用する労働者が日雇労働者となります。30日以内の期間の労働者も「日雇労働者」と定義されますので注意してください。
(実務上のポイント)
■30日以内の期間とは、「雇用期間」のことです。「派遣期間」のことではありません。
「日雇派遣の禁止=日雇のような短期派遣ができなくなった」と思われがちです。意味は、短期雇用者を派遣することができなくなったということです。派遣労働者は、派遣元と雇用契約を結びます。この雇用契約期間が31日以上であればいいのです。その条件下であれば、派遣先(就業先)での派遣期間が30日以内であっても法違反とはなりません。
派遣先が、超短期で1日~数日間で変わるような場合もあるでしょう。その場合でも、雇用関係は、派遣元で31日以上約束されているので雇用が確保されているとされるのです。
但し、明らかに派遣期間が超短期であるにも関わらず、派遣元で31日以上の雇用契約を結ぶなどした場合にはトラブルになりかねませんので注意しなければなりません。
■例外に注意(次の2つのケースでは日雇派遣が可能です)!
日雇派遣には2つの例外があります。今現在従事している労働者を個々人ごとに検証し、原則者・例外者の見極めをしていきましょう。
【例外1】 次の政令で定める業務
厚生労働省ホームページから抜粋
*例外1の業務は、専門的な知識、技術、経験を必要とする業務で、日雇労働者を従事させても適正な雇用管理に支障がないと認められる業務とされているため、日雇派遣が可能とされています。
【例外2】 次に該当する者を派遣する場合
・60歳以上の高齢者
・雇用保険の適用を受けない学生(昼間学生など)
・副業として日雇派遣に従事する場合
(生業収入が500万円以上であるときに限ります)
・主たる生計者でない場合
(生計を同じくする配偶者などの収入で生計を維持する者で、世帯収入が500万円以上の場合に限ります)
*例外2の場合は、「雇用の機会の確保が特に困難であり、雇用の継続などを図るために必要がある者」と考えられているため日雇派遣が可能とされています。むしろ禁止しないほうが労働者の雇用を促進すると考えられるケースですね。
次のページでは、グループ企業派遣の8割規制などを解説しています。