VW(フォルクスワーゲン)/up!

コンパクトの新スタンダード、VW up!(4ページ目)

デザイン、走り、機能性(安全性を含む)、環境性を高次元でシンプルに達成した、VWの新コンパクトカーがup! 。日本における価格設定もまさかの150万円切りスタートと、まさしく「快哉を叫ぶ」クルマです。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

社会的要求を満たす環境性能

VW up!

最高出力75ps/最大トルク95Nmを発生する999ccの直3DOHCエンジンを搭載。専用に新開発されたシングルクラッチシステムを用いた5速ASGが組み合わされた。JC08燃費は23.1km/lと、VWで過去最高の低燃費を実現


カタログ燃費は、23.1km/l。実用燃費にすぐれたドイツ車のこと、20km/l前後でラクに走ってくれるはず。満タンで700kmも走ってくれるわけだから、軽自動車のユーザーにも響くはず(税金の安さは別にして)。

決してインパクトのある燃費性能ではないけれども、現代の社会的要求を満たすには十分なパフォーマンスだ。

クラス初、シティエマージェンシーブレーキを標準化

VW up!

低速度域追突回避・軽減ブレーキのシティエマージェンシーブレーキを標準装備。これはレーザーセンサーにより前方(10mまで)の障害物を検知し、運転手が減速を行わない場合に自動でブレーキをかけるというもの。時速5~30km/hで作動、追突を回避もしくは衝撃を軽減してくれる。なお、ESPとフロントサイドエアバッグも標準となる


最後に安全性能を。そもそも安全というものは、人とクルマと社会が三位一体となって達成すべきものだ。よって、それぞれに安全性を高める義務と責任がある。

クルマの側でいえば、基本的なボディ設計や人間工学設計といったアクティブな面から、エアバッグに代表される装置や様々な電子制御にいたるパッシブ面まで、さまざまな取り組みがなされている。課題はといえば、いかにそのシステムを、コストの壁を超えて、すべてのクルマに採りいれることができるか、だ。

up! では、そのひとつがクリアされた。

シティエマージェンシーブレーキを、このクラスとしてはじめて標準装備(日本仕様)としたのだ。これは、時速30km/h以下であれば、レーザーセンサーで前方10mの対象物を検知し、衝突しそうになった場合、ブレーキスタンバイ→油圧アシスト→緊急自動ブレーキが働いて、前面衝突を可能な限り回避するというもの。

これも付いての150万円切りスタート、なのだから、驚くほかない。

ただ、気になる点もあった。クルマの評価には、まるで関係ない話ではあるが、タレントが運転中によそみをしていて、ぶつかりそうになるところを、このシステムに助けられるというTVCFだ。

自動で停まってくれることが、はたしてup! の真の魅力だろうか?

本来訴えるべきは、これからの実用車の本質的なあり方を問いかける存在としてのup!だろう。たとえそれが販促上、分かりにくいものであったとしても、正にup!
のデザインチームが新たなデザインにチャレンジしたように、挑戦がみたかった。

道具として乱雑に扱われがちな実用車の世界においても、クルマを愛すべきパートナーと見立てて、大切に、大事に、誇りと慈しみをもってドライブできる、ということではなかったか? 他のメーカー&モデルならともかく、VWのup! には、それをなしうる骨太で崇高なコンセプトの実現があったのだから……。

【関連サイト】
フォルクスワーゲン
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