セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイライフ

喜びも悲しみも…「ふつう」じゃないゲイの1週間(4ページ目)

みなさん、10月の3連休はいかがお過ごしでしたか? ゴトウはドトウのような日々でした。思うところあって、この3連休を中心とした1週間のことを、日記風に書いてみたいと思います。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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10月9日(火)

仕事中、友達のBからメールが。昔二丁目にあった「LAPIS」というお店のマスターが亡くなったという知らせでした。「LAPIS」は伝説のバー「クロノス」(芸能人や映画・演劇関係者の方なども集う、二丁目随一の文化的なお店でした)にも入っていたヒロシさんという方が開いたお店で、オシャレだけど気さくな雰囲気で(マスターもかわいいし)、友達も大勢通ってたし、僕も新しくできた彼氏を必ず連れて行ったり、恋愛相談をしたり、なんというか、青春の1ページに刻まれたお店でした。ちょうど10年前、お店の権利の関係で残念ながら閉店することになり、僕は友達Bといっしょに最後の日に行って、マスターにプレゼントを渡したのでした。

ヒロシさんは伝説のゲイ雑誌『アドン』に旨いご飯屋さんを紹介する「太郎くんの"う"のひきだし」という連載をもっていたほどのグルメで、体が大きくて、イイ男で、気のきいた会話もできるし、それでいて優しい、本当に素敵な方でした(みんなの憧れ。アイドルみたいな方でした。僕に勇気があれば、告白していたかもしれません)

訃報を聞いて、しばらく仕事が手につかなくなるくらい、意気消沈していました。Bの情報によると、お友達が連絡が取れずに心配して、部屋に行ってみたところ、亡くなっていたということで(心不全だったようです)、実家の親族の方が次の日に来られて、葬儀は田舎の方で行われることになったそうです。

夜、僕のオンラインマガジンに小説を寄稿してくださった樋口めぐむさん、白鳥健治さんという方とお食事をする約束になっていたので、二丁目の居酒屋でご飯を食べて、その足で「メゾフォルテ」に行きました(Bのところにも「メゾフォルテ」の福島さん経由で連絡が来たのです)。しばらく呑んでいると、たまたま「LAPIS」の常連だったTくんという友達が来て、ひとしきりヒロシさんのことを語り合って、「今晩、こうして僕らが会えたのも、きっとお導きだよね」と。

たぶん近いうちに二丁目でお別れ会が開かれるのではないかと思います(主催してくださる方に先に感謝申し上げたいと思います)。遺された人たちが故人を偲び、語りあう会は、お葬式になかなか参加できない僕らにとっては、本当に大切です。

40年ものおつきあいを続けたカップルの幸せなパーティが開かれたその夜、こうして大切なお友達が亡くなるなんて(両方のお友達だった方も多数でした)…ちょっと言葉を失ってしまいます。

思えば、僕が二丁目に深く関わりだして、初めての訃報が、2000年のGW、「クロノス」のマスターが亡くなったという知らせでした(大阪の「SWITCH」というイベントの取材中に、伏見さんがお電話で知らせてくださったのでした)。そして今、「クロノス」にも入っていたヒロシさんが亡くなり…二丁目のある時代がまるごと失われたような、大きな喪失感を覚えるのでした。

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