7年振りに復活した名湯旅館
白山ひめ神社がある鶴来地区から車を走らせること約1時間。宿がある尾口地区に入るとグングン坂を登っていきます。そして、スキー場や宿泊施設が並ぶ一里野高原を過ぎた辺りから景色は一変!「この先に本当に宿があるの?」と訝りつつ険しい山道を進むこと約1時間30分。突然に視界が開けて山崎旅館が現れました。
おや、たくさん車が停まっていますよ。新岩間温泉は、白山の登山道の入口でもあり、「岩間の噴泉塔群」に通ずる入口。旅館の前には公営の駐車場もありますから、皆さんここを拠点に山登りを楽しんでいるようです。
今年の夏に7年ぶりの復活を遂げた宿ですが、その歴史は深いもの。宿の源泉を引く上流の湯元にはかつて湯宿があったのですが、それが流されてしまったために、唯一の平地だった現在の場所に宿を開業させたのが昭和32年。断崖絶壁を鎖頼みで進んでいた悪路を整備したのも宿の初代。現在の主人である太一朗さんの祖父にあたります。その後一時休業しましたが、復活を望む声に応え、新生・山崎旅館が誕生したというわけです。
山崎旅館は、玄関のある「本館」、食事処がある「自館」、大浴場のある「別館」の3棟からなる木造一軒宿。それぞれ棟の客室数を合わせると34部屋になりますが、復活を遂げてから稼動させているのは、リニューアルした別館の5室と本館の10室です。
フロントは帳場、調理場は炊事場、部屋には番号が書かれた木札が、いい風合い。洗面所はカラフルなタイルが敷き詰められてキッチュな感じ。ふんわりと昭和の優しい空気が流れています。
今晩のお部屋は別館を用意してもらいました。別館は復活に際し全面リニューアルをし、新たにウォシュレット付きのトイレと洗面台を備えてあり快適。一部屋だけベットの部屋も用意されています。
秘湯は混浴なり
こちらの露天風呂は、立派な岩で囲まれた岩風呂。特別な目隠しもないので、まるで野原の真ん中で入浴しているよう。そして秘湯だからこその混浴!絶対に裸をさらしたくない乙女の鉄則は、「夕食の30分前をねらえ!」(鉄則の訳はコチラの記事へ)。
夜間はライトがついて24時間入浴することができますが、せっかくであれば明るいうちに、山々を眺めながら開放的な気分を楽しみましょう。入浴前には、湯上り処に置かれた「六方石の岩清水」で水分補給を。六方石とは白山の溶岩が六角形に裂けた溶岩のこと。その間から湧き出した水にはたっぷりのミネラル分が含まれているのです。
外に向かう前に、まずは内風呂でしっかり体を温めましょう。全面リニューアルした内風呂は、名付けて「山小屋の湯」。高い天井の梁や温かな照明が寛ぎの空間をつくりだし、カランとシャワーもついて快適です。
泉質はナトリウム-塩化物泉。湯触りは少しトロミがあって、色は透明ですが少しだけ黄味がかっています。湯口に柄杓がおいてあり飲むこともできますよ。消化器系に効く泉質です。でも、源泉そのままを浴槽に流していますから、ヤケドしないように気をつけて。