ストレス/ストレスフリーの思考術

セレンディピティを生かした自分探しの旅とは?(2ページ目)

人生に行き詰まったとき、人はよく「自分探し」の旅に出かけます。とはいえ、旅先で心振るわす「何か」を見つけ、人生を変えるヒントを得られる人、そうでない人には、旅の仕方に違いがあるようです。「セレンディピティ」を生かした自分探しの旅の極意とは?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「偶然の出会い」からヒントを得る旅のポイント

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ガイドブックの情報やおしゃべりに夢中になっているうちに「偶然の出会い」を見逃していることも

純粋であるためには、なるべく先入観で物事を見ないことです。たとえば、その場所に行く前、物を見る前に情報を調べすぎて、頭を固くしないこと。ガイドブックにばかりしがみついていると、その情報にとらわれ、セレンディピティが働かなくなってしまいます。

また、旅の友だちとのおしゃべりに夢中になったり、旅のお供である読書や音楽に夢中になりすぎてしまうこともそうです。こうしたことに気をとられて、偶然との出会いの機会を失わないようにしたいものです。

他人の都合に振り回されず、できれば一人で旅に出て、自分自身の直感にしたがって行動してみましょう。誰かと一緒の旅なら、それぞれが何かの「偶然の出会い」を感じられるように、ゆったりと静かに物を見る時間を共有してみるといいでしょう。また、一人で行動する時間も確保しましょう。

自分探しの旅が「逃避」になっていませんか?

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漂泊の旅路の中で大切なことを見失っていませんか?

ところで、自分探しの旅が批判されやすいのは、「自分探し」と称しながら、実は「逃避」の旅になっている場合が多いからではないでしょうか? 逃避の旅とは、旅先でいくつもの出会いにめぐりあっているのに、それを自分の人生のなかで生かすことをせず、ただ空間移動の状態に身を置き、漂っている状態です。

たとえば、アジアを中心に世界を旅するバックパッカーのなかには、もう何年も自分探しの旅を続けながら、実際には、現実から逃避し続けている若者がたくさんいます。円の通貨価値が高い現代だからこそ、何年もの漂泊生活を続けることが可能になっているのでしょう。

たとえ、現実から逃げ出したい気持ちで旅に出たとしても、「いずれは自分を生かしていきたい」という意志さえあれば、偶然の出会いからセレンディピティが働き、自分に合う行き方、自分を生かす方法のヒントが見つかるでしょう。ところが、逃避を続ける人は、実際にはそのヒントをたくさん得ているのに、次の行動を起こせない状態にあるのではないでしょうか? 行動を起こすには、勇気とエネルギーが必要になりますが、逃避の旅に浮遊しているうちに、その意欲が満ちてこなくなっているのかもしれません。

人生からの逃避を図っても、人生はいつでも自分と共にあります。そのことには、自分自身がいちばん気づいているはず。セレンディピティで得られた何かを自分の人生に生かすとき、そのときはいつになりますか?
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