予防接種・ワクチン/その他の病気の予防接種

黄熱ワクチンの接種・時期・副作用

野口英世先生が亡くなられたことで有名な黄熱ですが、日本では幸い見られません。これから卒業旅行などでアフリカに行く場合など、海外に渡航時には必要な知識ですので、ここで黄熱ワクチンについて説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

黄熱とは

蚊

黄熱も、日本脳炎、西ナイル熱、マラリアなどと同じで、蚊が関与します

黄熱は、日本脳炎ウイルスと似たフラビウイルス属に属する黄熱ウイルスによって起こります。黄熱は、黄熱ウイルスを持ったネッタイシマカという蚊に刺されることで感染します。そのため、黄熱は、ネッタイシマカが居るアフリカ、中南米の一部、赤道付近で流行しています。

蚊に刺されて症状が出てくるまでの潜伏期間は3~6日です。

症状は、
  • 突然の頭痛、めまい、発熱
  • 筋肉痛
  • 吐き気
  • 発症から2日目には高熱の割には脈を打つのが少ない状態(Faget徴候と言います)
  • 発症から3日目に解熱しつつ、黄疸、吐血、下血、蛋白尿
などです。

重症になると、こん睡状態になり、死亡します。死亡率は5~10%と言われています。

特効薬はありませんが、予防のためのワクチンがあります。

黄熱ワクチン

生ワクチンで、卵を使って作られている輸入ワクチンです。ゼラチンとゴム栓に天然ゴムが使用されていますので、卵アレルギー、ゼラチンアレルギー、ラテックスアレルギーのある人には、注意して接種を受ける必要があります。

1回0.5mlを1回皮下注射になります。14日後には抗体が100%獲得され、10年間持続します。

一般の医療機関ではワクチン接種できませんので、検疫所などで接種することになります。

対象者は、生後9カ月以上で南米、アフリカで黄熱感染が公的に報告され、黄熱に感染する危険のある国、黄熱ワクチン接種証明書を必要とする国に渡航する人です。

予防接種推奨国

黄色の部分が黄熱に対する予防接種が推奨されています(厚生労働省検疫所HPより引用)

毎年更新しているWHOのInternational Travel and Health(国際旅行と健康)で感染の危険性のある地域と各国の黄熱ワクチン接種証明書の要求について記載されています。英語の苦手な方は、検疫所にも詳細な情報が記載されています。

黄熱ワクチン接種証明書は、接種後10日から10年間有効です。

黄熱ワクチンの副作用

副作用はほとんど軽く、接種後5~10日程度に発疹、頭痛、筋肉痛、発熱などの症状が10~30%程度見られます。

まれに、ショック、肝機能異常、呼吸不全、意識障害などの重篤な症状があります。特に脳炎は20万回に1回程度であり、生後9か月未満の子供に危険性が高いと言われています。そのため、生後9カ月以上が対象になっているわけです。 また、65歳以上の高齢者では副作用が多くなると言われています。

40万回に1回、接種後2~5日目に疲労、筋肉痛、頭痛、発熱、呼吸不全、肝機能障害、血液中のリンパ球と血小板が減少し、黄疸、腎不全になることがあります。

現在は、生後9か月未満の子供と妊娠または妊娠している可能性のある女性には接種が推奨されていません。

アフリカ、中南米に旅行する予定にある人は、要チェックのワクチンです。
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