おたふく風邪とは

おたふく風邪説明図

耳の近くの耳下腺、顎の下の顎下腺という唾液腺が腫れます

おたふく風邪の正式名称は「流行性耳下腺炎」と言います。耳の前下にある唾液腺である耳下腺が腫れることで、丸顔のおたふく面のような輪郭になってしまうことから、一般的には「おたふく風邪」と呼ばれています。

おたふく風邪の原因ウイルス・潜伏期間・主な症状

おたふく風邪の原因は、ムンプスウイルスです。ムンプスウイルスが体内に侵入して、2~3週間後に、風邪のような咳、鼻水、発熱と耳の前下にある唾液腺・耳下腺、下あごの下にある唾液腺・顎下腺(がっかせん)が腫れます。この唾液腺の腫れは左右ともに腫れることが多く、腫れは1週間ぐらいで引きますが、合併症があるためその後も安心はできません。

おたふく風邪の合併症……精巣炎・ムンプス難聴など

おたふく風邪患者の合併症には、膵炎や精巣炎・精巣上体炎(睾丸炎)、卵巣炎などがあり、約10%ぐらいに髄膜炎、約0.2%に脳炎が現れることがあります。また最近では、おたふく風邪に罹った1,000人のうち1人に難聴が起こり、罹患した場合の重症度は自然治癒が期待できないほど重いと言われています。

続いて、ワクチン接種について詳しく解説していきますが、これらの合併症リスクを踏まえると、おたふく風邪は罹患する前の予防が特に重要といえるのです。

なお、おたふく風邪の原因や症状、合併症については、「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の症状と原因」に詳しくまとめてありますので、宜しければご参照下さい。

おたふく風邪予防に有効なムンプスワクチンの予防接種

おたふくかぜワクチン

おたふく風邪ワクチン(第一三共株式会社提供)

ウイルスの毒性を弱めた生ワクチンで、ニワトリの細胞を使って作られています。接種量は0.5mlを1回、皮下に注射します。

■接種頻度と適正年齢
日本では1回接種になっていますが、基本的には2回接種が勧められています。接種間隔は「MRワクチン」と同様、5年程度空けて接種した方が望ましいでしょう。

1歳過ぎたら接種可能です。日本では1回接種になっているので、1歳過ぎで集団生活をする前に接種が望ましいとされています。おたふく風邪の罹った報告が多い年齢は、4~5歳、2~3歳、6~7歳の順です。なかには、幼少期にムンプスワクチンを1回接種したにもかかわらず、大学での検査で陰性となり、再度接種した方もいるかもしれません。

■ワクチン抗体陽性率とおたふく風邪発症率
ワクチンでも、時に免疫がつかない場合があります。抗体陽性になる率は80~100%と言われて、徐々に低下する例もあるので、実際に防御として世界的に言われている効果は75~91%です。

単独で接種する方が抗体陽性率は上がるのですが、多く行われている麻疹、風疹、おたふく風邪を混合したMMRワクチンでも抗体陽性になる率は73%、2回接種で86%になると言われています。なお2017年現在、日本では以前の副作用の問題からMMRワクチンは製造されていません。今後、副作用の少ないMMRワクチンが作られる予定です。

アメリカなどでは、日本で開発された水疱瘡のワクチンを混合し、MMRVワクチンの2回接種を定期接種として採用しています。おたふく風邪に対するワクチンとしては、アメリカでのMMRワクチンの2回接種後でのおたふく風邪の発症が年間300人以下になっています。一方、日本では任意接種で接種率が悪いために、6万~25万人が毎年発症しています。世界的におたふく風邪ワクチンを施行している117国の中で110国で2回接種するシステムになっていますが、2017年現在、日本では、任意接種であるために1回接種のみであったりして、2回接種システムになっていないのです(日本小児科学会を始めとした学会では2回接種を推奨しています)。

ムンプスワクチンの副作用・予防接種のリスクの考え方

発熱や耳下腺の腫れが軽く見られることもありますが、ムンプスワクチンの副作用は比較的少ない方です。とは言っても、ゼロではありませんので起こり得る副作用を説明します。

まず、アレルギー反応の重篤なアナフィラキシーが発現することがありますが、こちらは適切に治療すれば問題ありません。ムンプスワクチンはウイルスを弱毒にしたもので、毒性を全くゼロにはできていないため、1,200人に1人、無菌性髄膜炎を発症する恐れがあります。しかし前述したように自然発症の場合、10~20人に1人が罹患するわけですから、それに比べれば頻度は圧倒的に少ないことが分かるでしょう。また、ワクチンによる難聴は非常にまれで、数10万人に1人程度と言われており、こちらも自然発症と比較すると発症の可能性は低いと言えます。予防接種による難聴と自然発症による難聴のリスクを比較すると、やはりワクチンで正しく予防することの方がリスク低減に有効と言えるでしょう。

自然発症後のリスクに比べると、副作用からくる発症や合併症のリスクがはるかに少ないことが、世界中で予防接種が定期的に行われている背景とも言えるのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項