おたふく風邪とは……原因・感染経路・潜伏期間・予防接種

子供を診察する医師

大人のおたふく風邪は、小児より重症化しやすいのが特徴

おたふく風邪の正式名称は「流行性耳下腺炎」。耳の前下にある唾液腺である耳下腺や顎下腺が腫れることで丸顔のおたふく面のようになるので、おたふく風邪と呼ばれています。特に顎下腺が腫れると、おたふくのような顔になりやすいです。

おたふく風邪は、麻疹ウイルスの仲間である「ムンプスウイルス」が原因で起こります。ムンプスウイルスは、耳の前下にある耳下腺、下あごの下にある顎下腺に感染するのが特徴。ツバなどを介してうつる飛沫感染で、非常に感染力が強いです。一方でウイルスに感染しても症状の出る人は6~7割で、残りはおたふく風邪と分かる症状が出ず済むことが多いです。

潜伏期間は2~3週間で、感染者と接触してから2~3週間後に顔の腫れが現れます。「おたふく風邪ワクチンによる予防」も有効で、世界中で予防接種が定期的に行われています。
 

おたふく風邪の症状・症例画像

顔の腫れが特徴的なおたふく風邪。触ると痛く、口が開けづらくなるのも特徴

顔の腫れが特徴的なおたふく風邪。触ると痛く、口が開けづらくなるのも特徴

  • 風邪のような咳、鼻水
  • 発熱
  • 耳の前下にある唾液腺・耳下腺、下あごの下にある唾液腺・顎下腺(がっかせん)の腫脹

唾液腺が左右ともに腫れることが多く、診断の大きな決め手になります。時に一方だけしか腫れない場合もあり、その場合は診断に苦労します。最初は一方の腫れで、何日か経って両方腫れる場合もおたふく風邪と言ってよいでしょう。腫れは1週間ぐらいで引きます。

感染力が強いため、基本的に感染を広げないよう自宅療養する必要がありますが、腫れが引くと感染する心配はほぼなくなりますが、腫れが引くのが長くかかることもあります。そこで、2012年より、学校では、発症後5日後に全身の状態がよけれは、登校可能になります。
 

おたふく風邪の合併症……髄膜炎・脳炎・ムンプス難聴・膵炎など

おたふく風邪は合併症が多いのも特徴です。

髄膜炎(ずいまくえん)
おたふく風邪患者の約10%ぐらいに見られます。脳の周りにある髄膜に炎症が起こります。1日3回以上の嘔吐、頭が割れるような激しい頭痛などの症状があるときには医療機関を受診してください。

脳炎
おたふく風邪患者の約0.2%に起こり、脳そのものが炎症を受ける病気。意識がなくなったり、痙攣が起こった場合はすぐに医療機関を受診してください。てんかんや発達障害などの後遺症を残すことがあります。

■ムンプス難聴
1万5,000例に1例程度と言われていましたが、2000例に1例あるとの報告があります。片耳だけ聴こえにくくなることが多いため、発見が遅れやすいのも特徴。特に子どもの場合は自覚症状がないことが多いので、子どもを呼んでもいつものように振り向かない場合は、聴力検査を受けてください。

■膵炎(すいえん)
我慢できない激しい腹痛、嘔吐がある場合は、膵炎を合併している可能性も。膵炎は蛋白を溶かす物質が血液中に流れますので、様々な臓器の機能の低下を起こします。そのため、放置すると命に関わるような腹膜炎を起こしたり、血液が止まりにくくなったり、重症になる危険があるので、早めに医療機関を受診しましょう。

以上のようにおたふく風邪には色々な合併症のリスクがあるので、感染や重症化を予防することが肝心です。
 

大人・妊婦のおたふく風邪・不妊症との関係……精巣炎・睾丸炎・卵巣炎など

成人のおたふく風邪は小児より重症化しやすいのが特徴。予防接種などで対策することをお薦めします。一方、重症化しやすいとは言え、一般に言われているような不妊症になることはほとんどありません。

■精巣炎・精巣上体炎(睾丸炎)
小児のおたふく風邪ではほとんどない合併症ですが、15歳以上の大人の男性の約30%が併発します。睾丸が炎症を起こし、痛みと腫れを伴い、発熱します。炎症を起こした睾丸はその後部分的に小さくなることがありますが、この場合でも精子は作られています。まれに左右両方の睾丸が大きなダメージを負うと「無精子症」といわれる不妊症の原因となることがありますが、多くは精巣の片側だけなので、おたふく風邪自体が不妊の原因になるわけではありません。

■卵巣炎
成人した女性の約7%が卵巣炎を併発します。おたふく風邪の症状と同時に、下腹部痛がみられるのが特徴。炎症が重くなければその後も正常に排卵されますし、大抵は片方だけで起こります。片方の卵巣の症状が重症でダメージを負ってしまっても、健全な卵巣からきちんと排卵されますので、女性の場合もおたふく風邪によって不妊になることは稀です。

■妊婦・妊娠中のおたふく風邪
妊娠中におたふく風邪にかかっても、赤ちゃんの奇形にはつながらないと言われています。しかし、妊娠初期におたふく風邪にかかると、流産の危険性が高まるので、注意することが大切です。

おたふく風邪の治療法や予防法については、「おたふく風邪(流行性耳下腺炎)の治療と予防」を併せてご覧ください。
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