1回接種でよいワクチン・複数回接種が必要なワクチン

ワクチンの接種回数・接種間隔

ワクチンの接種回数を守らないことのデメリットは?「1回でも打っていれば効果がある」と考えてよいのでしょうか?

ワクチンには1回接種で完了するものと、複数回接種が必要なものがあります。1回接種でよいワクチンは、結核を予防するBCG、黄熱ワクチン、髄膜炎菌ワクチンです。これらが1回で済むのは、リスクの高い時期のみに効果を発揮させるためであったり、1回の接種で免疫が一生維持できたりするためです。成人のインフルエンザワクチンも各シーズンで考えると1回のみですが、予防のためには毎年打つ必要があります。

現在は新型コロナウイルスワクチンの3回目接種となる「ブースター接種」も話題になっていますが、このコロナワクチンも含め、冒頭に挙げたワクチン以外の多くのものは2回以上の接種が必要です。接種回数や接種間隔はそれぞれ異なります。ワクチンによって、1年の間に2~3回接種する必要があるものもあれば、1回目から数年後に2回目を接種するものもあります。
 

生ワクチンか不活化ワクチンかでも異なる接種回数

ではなぜ、ワクチンによって接種回数や間隔に違いがあるのでしょうか? ワクチンは大きく2種類に分けられます。弱毒化した病原体そのものを使う「生ワクチン」と、病原体そのものではなく病原体の一部のみを使用した「不活化ワクチン」です。生ワクチンは抗体がつきやすく、維持しやすいのですが、不活化ワクチンは1回接種だけでは抗体産生が難しいです。また、年齢とともに抗体が低下するため、間隔を開けて複数回接種する必要があります。生ワクチンは接種回数が少なくて、不活化ワクチンは接種回数が多いのが特徴です。

■生ワクチン
BCG、黄熱ワクチン、麻疹、風疹、水疱瘡、おたふくかぜに対するワクチン、ロタウイルスワクチン。これらは1回接種で済むものや比較的接種回数が少ないワクチンです。黄熱ワクチンは1回接種で生涯効果があるとされています。麻疹、風疹、水疱瘡、おたふく風邪は以前は1回でしたが、自然感染による増強効果がないために2回接種になりました。BCGは粟粒結核に効果があるので、幼児期のみに使用しますが、成人の結核予防にはならないため、成人には使用しません。ロタウイルスは乳幼児が感染すると重症になるため、ロタウイルスワクチンは乳児に使用しますが、年齢が高くなると腸重積などの副反応が問題になります。

■不活化ワクチン
ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオに対する4種混合ワクチン、インフルエンザ桿菌(Hib)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン。これらは多くの場合、3回以上の複数回の接種が必要です。現在の定期接種だけでは回数が少ない可能性が指摘されていますので、今後回数については変わってくる可能性があります。例として不活化ポリオワクチンの回数が少ない可能性が示唆されています。

また、新型コロナウイルスワクチンは当初はまず2回接種でスタートしましたが、2021年12月からは3回目が接種されています。ちなみに私は3回目を12月21日に接種しました。副反応は、1回目は特に何もなく、2回目は接種部位に痛みと数時間のだるさだけでしたが、3回目は接種後8時間で接種部位の痛み、24時間してから1日程度、倦怠感、関節痛、目の奥がもやもや、頭痛がありました。ただ何度測定しても36度台で発熱はありませんでした。個人的意見ですが、そうした副反応があったとしても実際に新型コロナウイルス感染症にかかればつらいのは数日で済まないと考えております。そのため、仮に4回目の接種があったとしても接種すると思います。
 

インフルエンザワクチンが大人と子どもで接種回数が異なる理由

大人と子どもで接種回数が異なるのは不活化インフルエンザワクチンです。インフルエンザワクチンは、成人の場合は1回、子どもの場合は2回接種です。

理由として、1回接種量が異なること。3歳未満の場合は、1回の接種量が大人の半量です。そして免疫細胞の状態によって抗体が1回ではできにくいことがあるためです。加えてインフルエンザは毎年流行する株が異なるため、毎年接種しないと効果が発揮されません。
 

2回目以降のワクチン接種、早すぎ・遅すぎ・打ち忘れで起こること

基本的にワクチンは、本来なる可能性がある病気にならないために行うものです。それぞれの予防接種で定められた接種間隔は、病気になる前に十分な免疫をつけ、その免疫をしっかりと維持するために必要だと分かっている間隔です。ワクチンに求める本来の効果を得るためには、原則として接種間隔は守った方がよいでしょう。

特に定期接種のワクチンの場合は、接種間隔の間違いは費用面にも関わってきます。間違えて予定よりも短い間隔で接種してしまうと、公費でなく自費になります。また、うっかり忘れていて2回目接種が大幅に遅れてしまったような場合も、決められた接種時期を超えると同じように公費から自費になってしまいます(期間外になっても公費で施行されるワクチンもあります。その場合は遅れて接種しても費用面では問題はありません)。

ただし、例として不活化ワクチン1回目と2回目の間隔が非常に空いてしまった場合、1回目だけの免疫では効果が不十分な可能性があります。そのため、2回目を接種する前に予防すべき病気にかかってしまうことがあります。1回は打ったと安心するのではなく、回数と接種間隔をチェックすることは大切です。
 

複数回接種のワクチン、1回接種だけでも0回より効果はあるのか

また、複数回接種が必要なワクチンで、2回目以降の接種を忘れてしまったり、接種しそびれてしまったりする方も稀ですがいらっしゃいます。「2回目を受けるのを忘れていたが、1回は打っているから大丈夫」「全く接種していないよりも免疫はあるはずだ」と考えたくなるかもしれませんが、定められた接種回数を守っていない以上、効果の保証はありません。

一方で、ワクチンを1回だけ接種して2回目以降を受けなかったとしても、抗菌薬の自己判断での中断などと異なり、「中途半端に接種したために、全く接種していない状態よりも悪い影響が出る」といったリスクはありません。

ただ既定の回数未満の接種というケースはデータも少ないため、どの程度免疫が維持されるか、全く接種していない状態に比べてどの程度効果があると言っていいのかは、医師であっても予測が難しいです。ワクチンの種類によっても異なりますが、2回受けるべきワクチンを1回接種しただけでは、もともと十分な免疫が得られていない状態かもしれませんので、予防したかった病気にかかってしまっても不思議ではありません。

生ワクチンの場合は複数回接種のものでも1回接種で十分な抗体を得られる人もいますが、これも個人差があります。いずれにしても複数回実施しているワクチンは、1回での抗体量が十分でないと考え、定められた接種回数未満では感染する可能性が高くなることを覚えておきましょう。
 

ワクチン接種、十分な効果を求めるならスケジュール通りにしっかりと

せっかくワクチンを受けるなら、ワクチンの効果が十分に出るように受けたいものです。複数回接種が必要なワクチンは、決められた間隔で複数回接種することが大切です。

また、決められた接種間隔より短いのは避けるべきですが、何らかの事情で2回目以降が遅れてしまったとしても諦める必要はありません。回数も重要ですので、主治医に2回目以降の接種をどうすればよいか相談しましょう。

感染症は患者数が減ると無症状感染などもなくなり、時間の経過とともに抗体も低下していきます。例えば以前は1回接種のみだった麻疹は、患者数が減り多くの人の抗体が下がった状態になったことで、ひとたび感染者が出ると感染拡大してしまうこともわかっています。

ワクチンは、自分自身を守ること、そして自分の周りの大切な人を守ることにもつながります。回数、間隔など正しいスケジュールで受けるようにしましょう。
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