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領土問題で注目を浴びる国際司法裁判所とは(2ページ目)

竹島の領土問題が深刻化し、日本が国際司法裁判所に提訴しようとしています。この国際司法裁判所とは、いったいどのような裁判所なのでしょうか?

執筆者:All About 編集部


判決が出たら? 強制力は?

どんな裁判でも、出た判決に対する強制力がないと意味がありません。例えば「貸したお金が返ってこない」訴訟では、判決を出してもそれに従わなかった場合、差し押さえをして強制的に取り立てができます。

国際司法裁判所の場合、国連憲章第94条にそれが定められています。それによると、「国際司法裁判所の判決に従わない場合、国連安保理が適切な措置を取ることができる」。安保理が動けば、当事国に対して制裁などを加えられます。

しかし、シリア紛争の例で顕著ですが、現在の安保理は常任理事国が拒否権を発動するとそれだけで止まってしまう状態です。果たしてどこまで国際司法裁判所の判決に対して強制力があるのか、多少疑わしいところでしょう。

裁判例-ペドラブランカ島の領有権

「領土問題」は世界中に存在するもので、むしろ全く隣国と問題のない国の方が珍しいくらいです。第二次大戦後は、国際司法裁判所が多くの領土問題の解決に携わってきました。その中の1つ、シンガポールとマレーシアが領有権を争っていた、ペドラブランカ島を紹介しましょう。

ペドラブランカ島は、シンガポールの東、南シナ海にある、面積8,560平方メートル程度の小さな無人島です。ちなみに東京ドームのグラウンド面積が13,000平方メートルなので、その3分の2程度の小さな島。

この島は、1980年頃からシンガポールとマレーシアの両国が領有権を主張し争っていました。21世紀になって、両国は国際司法裁判所で決着をつけることに同意。2008年5月に判決が出て、シンガポールの領有権が認められました。

問題は2国が同意しないと裁判にならない点

国際司法裁判所は紛争解決に役立つ機関ですが、問題は当事者両国が同意しないと提訴が受託されないことでしょう。つまり片方が拒否し続けると、裁判が始まらずに何も解決しません。

ただし、紛争を平和裏に解決する手段としては最適なので、今後も日本を初め各国は有効活用していくことが期待されています。
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