ストレス/身近な人のストレスケア

行き詰まったあの人に本当に必要な「サポート」(2ページ目)

あなたの周りにいる「行き詰まり感」を抱えた人に、何をしてあげられますか? 4つのソーシャル・サポートから、今、あなたができることを考えてみましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

一歩近づいて、その人のニーズを聞く 

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「行き詰まり感」を抱えた人に自分から一歩近づいてみる

このように、自分の周りにいる人の「行き詰まり感」に気づき、自分ができるサポートをしてあげるだけで、その人はとても心強く感じるのです。無理をせず、自分のできる範囲でできるサポートを考えてみましょう。

「行き詰まり感」を抱えている人は、自分の抱えている問題に押しつぶされ、周りに助けを求めるエネルギーさえ失ってしまっていることが多いのです。そのため、周りの人から「一歩」近づく思いやりが必要になります。

まずは、「最近元気ないみたいね」「疲れてるように見えるけど、大丈夫?」と、一言声をかけてみましょう。そして、その人の抱えている思いをじっくり聞いてみるといいでしょう。その話の中には、その人が求めるサポートのニーズが必ず隠されているはずです。

「よく眠れない」から考えられるサポートも

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「眠れない」は相手の心身の状態を知るサイン

たとえば、「最近よく眠れなくて」という言葉を出す人は、ストレスから睡眠サイクルが乱れているのかもしれません。眠れなくなるほどの思いを抱える背景には、いったい何があるのかを聞きだしてみましょう。そこに4つのサポートの中から、自分ができるサポートが見つかると思います。

その人の立場に立って話をじっくり、共感的に聞いてあげたり(情緒的サポート)、その人を肯定してあげる(評価的サポート)だけでストレスが解け、不眠の症状が治っていくこともあります。

何週間もずっと眠れないなら、心の病の専門家に相談した方がいいケースもあります。「市役所の心の悩みの無料相談があるから、予約してみない?」と情報的サポートをしたり、医療機関に行くことに躊躇があるなら、初回診察時に窓口まで付き添う道具的サポートをしても、喜ばれそうです。

安易なアドバイスや、決めつけは逆効果

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その人の立場に立って「サポート」を考えよう

このように、小さなことでもたった一つでも、その人を楽にする何かのサポートをすると、心の危機から救うことができるのです。その際に気をつけなければならないのは、自分の価値観を押し付け、一方的にアドバイスをしたり、「こうするべき」と、考え方や解決策を押し付けないことです。

一方的なアドバイスや意見の押し付けは、その人の救いにならないばかりか、逆に追いつめ、傷つけてしまうことがあります。大切なのは、その人に寄り添い、その人が必要としているサポートを察知し、その中から自分にできるサポートをすることです。周りの人のこんな支えによって、「行き詰まり感」を抱える人は、一歩前に歩きだすことができるのです。

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