社会保険未加入問題に対する対策

建設業の下請け業者にとって、社会保険未加入問題は死活問題に!

建設業の下請け業者にとって、社会保険未加入問題は死活問題に!

建設業者は、一社単独で工事を請負って完成させるというより、数社で工事を請け負って完成する「下請け重層関係」という特殊な業界。元請業者、下請け業者、孫請け業者など、数社間で請負契約が交わされる業界です。

この業界全体の問題は、社会保険未加入企業が多数存在することです。そのため、業界の管轄行政庁(国土交通省)から社会保険未加入企業に対する具体的な対策が取られています。内容は、私の既記事「対策急務!建設業の社会保険未加入問題」を再読ください。

そうした状況下、今般、平成27年4月1日から、さらなる未加入対策が取られるようになりました。公共工事を請負う企業は、要チェックです。

平成27年4月1日~
社会保険未加入業者との下請契約は禁止に(条件あり)!

【国土交通省直轄工事における更なる社会保険未加入対策】

1.建設業担当部局への通報の対象範囲の拡大

●従前
下請金額の総額が3,000万円以上の工事(※)において、施工管理台帳を通じて、社会保険未加入の事実が確認された場合、建設業担当部局に通報されることになっていました。

●平成27年4月1日~
下請金額の総額にかかわらず、平成27年4月1日以降に契約を締結する全ての工事からは、施工管理台帳を通じて、元請・下請を問わず社会保険未加入の事実が確認された場合、建設業担当部局に通報されることになりました。

2.元請業者と社会保険未加入業者との一次下請契約締結禁止範囲の拡大

●従前
下請金額の総額が3,000万円以上の工事(※)において、元請業者の社会保険未加入業者との一次下請契約の締結が禁止されていました。

●平成27年4月1日~
平成27年8月1日以降に入札公告を行う工事で、下請金額の総額が3,000万円未満のもの(※)にも、一次下請契約の締結禁止が拡大されています(試行)。

(※)建築一式工事については、総額4,500万円です。

以上は、国土交通省直轄工事における取り扱いですが、今後民間工事に対しても厳しい対策が取られる予定です。貴社を含め、下請・孫請の企業が未加入のもまだと、死活問題にもなりかねないのです。

併せて従来からの社会保険未加入問題対策も確認しておこう!

■経営事項審査における保険未加入企業への減点措置、厳格化
(平成24年7月1日施行)

公共工事の入札に参加するためには建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化した「経営事項審査」を受ける必要があります。この審査において、社会性等(労働福祉の状況)に係る評価の項目及び基準が見直されています。

  1.  評価項目中「健康保険及び厚生年金保険」を、「健康保険」と「厚生年金保険」に区分し、各項目ごとに審査
  2. 「雇用保険」、「健康保険」及び「厚生年金保険」の各項目について、未加入の場合それぞれ40点の減点(3保険に未加入の場合120点の減点).

上記により減点がされることになりましたから、未加入の場合、入札を受ける際に非常に大きなデメリットとなります。

(国は具体的に次の方向性を考えています)
建設業における社会保険未加入問題への対策については、行政、元請企業、下請企業など関係者が一体となって、総合的対策を実施し、実施後5年を目途に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指すこととしています。                                 
■建設業の許可申請書の添付書類に保険加入状況が追加
(平成24年11月1日施行)

許可行政庁が、建設業法に基づく許可(許可の更新を含む。)の申請時に、保険加入状況の確認、指導等を行うため、申請書の添付書類として、健康保険等の加入状況を記載した書面の提出を求めることとし当該書面の様式が整備されます。 健康保険等の加入状況とは、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法による被保険者となったことの届出の状況のことです。

■ 施工体制台帳等の記載事項に保険加入状況が追加されます
(平成24年11月1日施行)

特定建設業者及び下請負人が、その請け負う工事における下請負人等の保険加入状況を把握することを通じて、適正な施工体制の確保に資するよう、特定建設業者が作成する施工体制台帳の記載事項、下請負人が特定建設業者に通知すべき事項に、健康保険等の加入状況を追加することになっています。

次のページでは、下請け事業者に対する指導について解説しています。